「新卒で辞めるなんて、甘えだと思われる」

「せめて3年は続けないと、次がないぞ」

入社して半年も経たないうちに辞めたいと感じている人が、いちばん先にぶつかるのがこの言葉だと思います。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

でも実際、すぐ辞めたら経歴に傷つくんちゃうん?

ともふみ
ともふみ

傷はつきます。ただ、僕にあとから効いたのは早く辞めたことではなく、次の選び方のほうでした。

 

先に言っておくと、僕は新卒ではありません

正直に書きます。僕は大学を出たあと就職せず、舞台とバンドをやりながらフリーターをしていました。だから「新卒で入社した会社を辞めた人」ではありません。

ただ、この記事を書く理由があります。僕には「早く辞めた経験」と「限界まで耐えた経験」の両方があるからです。

  • 1社目:29歳で初めて就いた正社員(人材派遣会社の営業)。半年で辞めました
  • 2社目:年間休日84日、毎日終電のブラック企業。2年半耐えました

新卒かどうかは関係なく、「入ってすぐ辞めたいと思った人間」がその後どうなるかは、身をもって知っています。そして両方やったからこそ、比較ができます。

 

半年で辞めたとき、何が起きたか

1社目は人材派遣会社の営業でした。29歳、職歴なしからようやく掴んだ正社員です。うれしかった。だから最初の3か月は必死でやりました。

でも、無理でした。理由は2つあります。ひとつは、コロナ禍なのに飛び込み営業が中心だったこと。しかも派遣できる人がほとんどいないのに、派遣の営業をしていました。もうひとつは、ルールを守らない営業が当たり前の会社だったことです。途中から採用も任されましたが、働く人を大事にしない採用の仕方に加担している感覚があり、長く続けられる場所ではないと思いました。

半年で辞めました。辞めるとき、上司にこう言われました。

「半年で辞めた奴を、次にどこが雇うと思う?」

怖かったです。本当にそうかもしれないと思いました。

結果から言うと、次は決まりました。半年の職歴でも、営業として何をやっていたかを具体的に話せば、話は聞いてもらえました。「短期離職」そのものより、辞めた理由を自分の言葉で説明できるかどうかのほうが、面接では効きました。

ともふみ
ともふみ

「次はない」と言ってくる人は、たいてい辞めたことがない人です。

 

2年半耐えたとき、何を失ったか

問題は2社目です。ここで僕は「今度こそ続けよう」と決めていました。半年で辞めた負い目があったからです。

入った会社は、年間休日84日。カレンダー上は週休2日ですが、実際は土曜出勤が当たり前で、日曜も電話が鳴る。残業代は固定分を超えても出ませんでした。

それでも「3年は続けろ」を信じて、耐えました。結果、2年半で失ったものはこれです。

失ったもの 具体的に
時間 30歳から32歳。転職市場でいちばん動きやすい時期を、抜け出すためだけに使いました
体調 日曜の夜に必ず腹が痛くなる。朝、駅で足が止まる。当時は根性の問題だと思っていました
判断力 疲れていると「転職活動をする気力」自体が湧きません。辞めたいのに動けない状態が1年以上続きました
基準 異常な環境に慣れると、それが普通になります。次の面接で希望条件を聞かれても、まともに答えられませんでした

そしてはっきりしたのは、「2年半耐えた」こと自体は、転職市場ではほとんど評価されないということです。次の転職で評価されたのは、途中から任されたWeb運用と、売上を伸ばした実績のほうでした。耐えた年数ではなく、その間に何を残したかです。

 

結論:あの2年半が無駄かどうかを決めるのは、会社ではない

半年で辞めたことで失ったのは、履歴書の1行と、多少の説明の手間だけでした。面接で2〜3分説明すれば済みます。

では2社目の2年半はどうだったか。ここは正直に書きます。年間休日84日、基本給10万円未満、毎日終電。この条件自体は、どう言い換えても正当化できません。人に勧める気もありません。

ただ、あの2年半に意味があったかどうかは、会社が決めることではなく、自分が決めることでした。

僕はあそこで、売上と粗利を前年比約200%まで伸ばして主任になり、人が足りないという理由でWeb運用まで任されました。32歳でWebマーケの部門に採用されたのは、この実績があったからです。条件はひどかった。それでも、持ち出せるものは持ち出しました。

だから「損だった」とは言いません。人生に無駄はない、という受け止め方で処理しました。これは僕がそう決めただけの話で、我慢を勧めているのではありません。

「3年は続けろ」という言葉も、完全に間違っているとは思いません。ただしそれは、続けた先に持ち出せるものがある場合の話です。

納得できないやり方に加担する時間も、休日に鳴る電話も、3年続けたところで何にも変わりません。続けると決めるなら、「そこから何を持ち出すか」を先に決めてください。それが決まらないまま続ける時間は、我慢ではなく消耗です。

 

新卒がすぐ辞めても詰まない理由

ここは事実として知っておいてください。新卒で早期に辞めた人を採るための枠が、ちゃんと存在します。「第二新卒」と呼ばれる枠です。

企業側から見ると、第二新卒にはこういう利点があります。

  • 社会人としての基礎ができている——名刺の渡し方やメールの書き方を一から教えなくていい
  • 前の会社の色に染まりきっていない——中途のベテランより自社のやり方に馴染みやすい
  • 若い——単純に、長く働いてもらえる可能性がある

つまり「早く辞めた」こと自体が、需要になっている市場があるということです。上司が言った「どこが雇うと思う?」は、単純に事実と違いました。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

じゃあ気楽に辞めてええんか?

ともふみ
ともふみ

そこは違います。順番だけは守ってください。ここを間違えると本当にきついです。

 

僕の失敗は「次を決めなかったこと」ではありませんでした

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

僕は1社目を、次が決まってから辞めています。無職期間はありません。よく言われる「次を決めてから辞めろ」を、僕はちゃんと守りました。

それでも、入った先は年間休日84日、基本給は10万円を切る会社でした。どちらも、入社してから分かったことです。

つまり次が決まっているかどうかと、その次がまともかどうかは、まったく別の話だったということです。「次を決めてから辞める」は必要条件であって、安全装置ではありませんでした。

だから順番はこうしてください。

  1. 在職中に、相談だけ始める——応募しなくていい。登録して話を聞くだけ。「行き先がある」と分かるだけで気持ちが変わります
  2. 辞めたい理由を、条件の言葉に翻訳する——「人間関係がつらい」→「評価基準が明文化されている会社がいい」など。これをやらないと、次も同じ場所を選びます
  3. 内定が出たら、決める前に中身を確かめる——ここを飛ばすと、次が決まっていても同じ場所に入ります

③で確かめるのは、この3つで十分です。

  • 年間休日は「何日」か——「完全週休2日制」という言葉ではなく、数字で聞く。120日と84日はまったく違う会社です
  • 基本給はいくらで、固定残業代は何時間分か——月給の総額ではなく内訳。ここが分かれていないと、残業代が出ているのかどうかも判断できません
  • 固定分を超えた残業代は支払われるか——「超えた分は別途支給」と口頭でもいいので言質を取る

全部、労働条件通知書か、面接の最後の逆質問で確認できます。聞きにくいと感じるかもしれませんが、聞かれて不機嫌になる会社なら、入ってからはもっと聞けません。

そしてもう1つ。面接で「どこでもいいので正社員になりたい」と言ってしまう人は少なくありません。でも希望を言わない人には、埋めたい穴が回ってきます。②を飛ばさないでください。

 

第二新卒として動くなら

新卒で早期に辞めた人が使うなら、第二新卒・既卒を専門に扱っているところが現実的です。一般的な転職サービスは経験者向けの求人が中心なので、そもそも土俵が違います。

第二新卒エージェントneoは、名前のとおり第二新卒・既卒・中退・フリーターを対象にしたサービスです。短期離職を前提に話を聞いてくれるので、「半年で辞めました」を毎回ゼロから説明する必要がありません。

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辞めたあと、いったんバイトでつないでいる場合は20代フリーターからの就職に振り切ったミラフリのほうが近いです。「新卒で入って辞めて、いまはバイト」という状態が例外扱いされないのが違いで、職歴の短さを毎回言い直す手間が省けます。相談はオンラインで完結します。

短期離職の説明の仕方そのものについては、短期離職は転職に不利?半年で会社を辞めた僕が次の転職を決めた話に、僕が実際に面接で話した内容を書いています。

 

辞めると言えないときは

もうひとつ、現実的な話をします。辞める決心はついたのに、言い出せないケースです。

新卒だと特にそうで、「育ててもらったのに」「研修費をかけてもらったのに」と考えてしまう。そこに強い引き止めが重なると、半年、1年と先延ばしになります。僕も2社目では、辞めようとして3回先送りしました。

どうしても無理なら、退職代行という手段があります。ただし選ぶときに1点だけ注意があります。

運営元 できること
民間企業 退職の意思を伝えるだけ。有給や未払い賃金の交渉はできません
労働組合 団体交渉権があるので、有給消化や退職日の交渉ができる
弁護士 交渉に加えて未払い残業代の請求まで対応できる。費用は高め

有給が残っている、残業代が出ていない——そういう状況なら、交渉できるところを選ばないと損をします。円満退職ユニオンは労働組合運営なので交渉ができます。料金は加入時納入額16,000円(加入費3,000円+組合活動費1,000円+組合費2ヶ月分12,000円)です。この金額には組合費2ヶ月分が含まれているので、3ヶ月目以降の組合費の扱いは申し込み前に公式サイトで確認してください。

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労働組合運営/加入時納入額16,000円(加入費3,000円+組合活動費1,000円+組合費2ヶ月分12,000円)

親や次の職場に知られるのが不安な場合は、退職代行を使うと親や次の職場にバレる?結論、バレません【3つの例外だけ注意】にまとめてあります。

 

まとめ:耐えることそのものには、値段がつかない

この記事のポイントです。

  • 僕は初めての正社員を半年で辞め、次の会社では年間休日84日を2年半働いた
  • 早期離職で失うのは履歴書の1行と説明の手間。面接で2〜3分説明すれば済む
  • 2社目の労働条件は正当化できない。ただしそこに意味があったかどうかを決めるのは、会社ではなく自分。僕は持ち出せる実績を持ち出した
  • 新卒の早期離職には第二新卒という受け皿がある。「次がない」は事実と違う
  • 次を決めてから辞めても、中身を確かめなければ同じ場所に入る。年間休日の日数・基本給と固定残業代の内訳・超過分の扱いは、決める前に必ず聞く

2年半働いたことを、僕はいまでも誰にも褒められていません。転職の面接でも「なぜそこに2年半いたのか」と聞かれただけでした。褒められたのは、その間に出した数字のほうです。

耐えたこと自体には、値段がつきません。値段がつくのは、そこで何を身につけたかだけです。いまの環境でそれが積み上がっているかどうか、それだけを基準にしてください。

ともふみ
ともふみ

辞めるかどうかより、「ここで3年経った自分」を想像できるかで決めてください。

僕がフリーターから正社員になり、そこから抜け出すまでの全体像は、29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでに書いています。