先に答えを書きます。
正社員(期間の定めのない雇用)なら、会社に退職を申し入れてから2週間たてば、会社の許可がなくても辞められます。根拠は民法627条です。
手順は3つだけです。
- 法律(2週間のルール)を自分で確かめる
- 辞める日を決めて、退職届に書く
- 「この日に辞めます、ありがとうございました」と渡す
僕が自分で退職届を出したのは、29歳で初めて正社員になった1社目です。人材派遣会社の営業で、派遣社員をだますように採用して現場に送り込むようなやり方があり、約半年で辞めました。そのとき退職代行は使わず、この順番で自分で退職届を出しています。この記事では、そのときにやったことと、出す前に確かめておきたい法律まわり(契約社員の場合・就業規則・有給休暇など)を、条文と厚生労働省の情報で確かめながら書きます。

ブラック企業って、辞めさせてもらえへんもんやろ? 代行に頼むしかないんちゃうの。

辞めるのに会社の「許可」はいらないんです。それを知っているかどうかで、切り出し方が変わります。
結論:正社員なら「申し入れから2週間」で雇用は終わります
民法627条1項の条文はこうです(e-Gov法令検索で確認)。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
ここに会社の承諾という言葉は出てきません。厚生労働省のサイト「確かめよう労働条件」でも、期間の定めのない労働契約で働く人が退職するときは原則として2週間前までに申し入れると説明されています。
ちなみに同じ627条の2項・3項には「月給制なら次の期間以降」といった決まりがありますが、今の条文では「使用者からの」解約の申入れについての決まりになっています。働く側が辞めるときは、1項の2週間で考えれば大丈夫です。
自分で辞めるときに、僕がやった3つのこと
① 辞めると決めたら、すぐ動いた
僕は1社目を辞めると決めてから、すぐに動きました。
② 2週間で辞められることを、自分で調べた
最初にやったのは、法律でどう決まっているかを調べることでした。そこで見つけたのが、冒頭に書いた民法627条です。
これを知っていると、こちらから日付を出せます。知らないと「いつなら辞めさせてもらえますか」と会社に聞く形になり、日付を相手に決めてもらうことになります。
③ 「この日に辞めます、ありがとうございました」と出した
そのうえで、辞める日を決めて、「この日に辞めます、ありがとうございました」と退職届を出しました。
ポイントは2つです。「辞めたいのですが」と相談の形にしないこと。そして最後はお礼で締めること。理由を議論する場でも、会社の悪口を言う場でもありません。

「辞めてもいいですか」やなくて「この日に辞めます」か。言い方ひとつやな。
退職届を出す前に確かめておく5つのこと
1. 契約社員など「期間の決まった契約」の場合
2週間のルールは期間の定めがない雇用の話です。契約期間が決まっている場合は、民法628条で「やむを得ない事由があるとき」に解除できる、という別の決まりになります。
ただし労働基準法の附則137条で、契約期間が1年を超える有期契約なら、契約から1年たった後はいつでも申し出て退職できるとされています(一部の専門職などを除く)。また労働基準法15条では、入社時に示された労働条件が事実と違う場合は、すぐに契約を解除できると定められています。
2. 就業規則に「1か月前」と書いてある場合
就業規則で「退職は1か月前までに申し出ること」としている会社は多いです。法律上の原則は2週間ですが、茨城労働局のQ&Aでは、就業規則の期間が社会通念上いちじるしく長くない場合(例えば1か月前まで)は、それに従うことが望ましいと案内されています。
僕の考えとしては、合わせられるなら就業規則に合わせる。心身がもたないなど合わせられない事情があるなら、2週間を根拠にする。この順番がいちばん角が立ちにくいと思います。
3. 「退職願」ではなく「退職届」を出す
似ていますが意味が違います。
- 退職願:「辞めさせてください」というお願い。会社が承諾して初めて成立する
- 退職届:「辞めます」という一方的な意思表示
「確かめよう労働条件」でも、確実に決まった日で辞めたいなら退職届を出すのが無難と説明されています。ブラック企業で引き延ばされたくないなら、退職届です。
4. 有給休暇が残っていないか
年次有給休暇は労働基準法39条で決まっている権利で、6か月続けて働き、出勤日の8割以上出ていれば10日与えられます。残っている日数は、辞める前に確認しておきましょう。辞める日までに使いたいなら、退職届を出すときに一緒に伝えておくと話が早いです。
5. 「辞めるなら損害賠償」と言われたら
労働基準法16条で、会社が「辞めたら違約金」のように、あらかじめ賠償額を決めておく契約をすることは禁止されています。こう言われて困ったら、次の見出しの相談先に聞いてください。
退職届の書き方(そのまま使える例)
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
令和〇年〇月〇日(提出日)
〇〇部 〇〇課 氏名 〇〇〇〇 印
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 殿
- 退職日は、提出日から2週間以上あとの日付にする
- 理由は「一身上の都合」でかまいません。細かく書く必要はありません
- コピーを取っておく。いつ出したかの記録になります
- 受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送ると、いつ・何を送ったかが記録に残ります
どうしても自分で言えないなら、代行は間違いではありません
ここまで「自分で辞められる」と書きましたが、顔を見ると言えない、電話が怖い、という状態の人に無理をしてほしくはありません。自分で言えないほど追い込まれているなら、それ自体が辞めていいサインです。
そういう人は、退職代行を使うのも正当な手段です。代行とは何か、どういう人に向くかはブラック企業を辞められないあなたへ。退職代行という選択肢、選ぶときに見るべき点は退職代行の選び方|料金より先に「運営元」を見ないと損をしますに書いています。
また、代行を頼む前に無料で相談できる公的な窓口もあります。厚生労働省の総合労働相談コーナーです。各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署などに378か所あり、予約不要・無料で、退職を含むあらゆる労働問題の相談を受け付けています(厚生労働省のサイトより)。「辞めさせてもらえない」「損害賠償と言われた」ときは、まずここに聞くのが確実です。
年間休日84日だった2社目の条件(次の会社選びの目安に)
僕は29歳まで正社員経験のないフリーターで、そこから4年で4社を経験しました。自分で退職届を出したのは上に書いた1社目ですが、労働条件の厳しさでいえば、2社目のほうが典型的なブラック企業でした。2社目はインテリア用品の会社の営業で、約2年半働いています。条件はこうでした。
- 年間休日84日
- 毎日終電
- 基本給10万円未満
- 早く出勤しても、残業扱いにならない
厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」では、労働者1人あたりの年間休日の平均は116.6日です。84日は、平均より約33日少ない計算になります。
正直に書くと、条件だけで言えばもっと早く見切りをつける判断もありえた会社です。僕はそこに2年半いました。
ただ、人が足りない会社だったこともあり、途中からは営業に加えてマーケティングやWeb運用も任され、売上と粗利を前年比で約200%にして主任にもなりました。この経験があったから次の会社に採用されたので、今は「人生に無駄はない」と思って前向きにとらえています。それでも、年間休日84日や基本給10万円未満という条件そのものを「良かった」とは思いません。そこは分けて考えています。
ブラック企業かどうかを数字で見分ける方法はブラック企業の特徴とは?年間休日84日・基本給10万円以下の現実、休日が増えて生活がどう変わったかは年間休日84日から休みが増えて変わったことを書いた記事にまとめています。
辞めたあとの「次」は、年齢で相談先を分ける
できれば在職中に次を探し始めておくと、無職の期間ができにくくなります。僕も1社目は、次の会社が決まってから退職届を出したので、無職の期間はありませんでした。順番の考え方は入社して「思っていた会社と違う」と感じたらに書きました。
相談先は、年齢で分けたほうが合います。
20代なら
正社員経験が浅い、フリーターの期間があるなら、20代フリーター向けのミラフリのように、はじめから20代の就職を前提にしているところが合います。求人は約7万件で、事務職の求人が中心。相談は無料で、オンラインで完結します。
30代なら
30代で「次はブラックを避けたい」なら、担当者との相性が大事になります。転職エージェントナビは、全国300名以上の転職エージェントの中から担当を紹介してくれるサービスで、担当の変更もでき、利用は無料です。利用者は20代が中心とされていますが、公式サイトには年齢や職歴で判断しないとあります。最初の面談で、自分の年齢と経歴で紹介できる求人があるか聞いてみてください。
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次の会社を選ぶときは、求人票の年間休日と基本給を必ず見てください。僕のいた会社も、条件の厳しさはこの2つの数字にはっきり出ていました。
まとめ
- 正社員(期間の定めのない雇用)は、申し入れから2週間で辞められる(民法627条1項)。会社の許可はいらない
- 僕がやったのはすぐ動く・法律を調べる・「この日に辞めます、ありがとうございました」と出すの3つ
- 契約社員は民法628条・労働基準法附則137条を確認。就業規則の「1か月前」は合わせられるなら合わせる
- 出すのは退職願ではなく退職届。有給休暇の残りも確認
- 自分で言えないなら、退職代行も総合労働相談コーナー(無料・予約不要)も使っていい
年間休日84日の会社にいた身として思うのは、辞めるのに誰かの許可を待つ必要はないということです。法律が先に決めてくれています。あとは日付を決めて、お礼を言って、出すだけです。




