ボーナスが振り込まれた通帳を見て、「よし、これで辞められる」——そう思った経験、ありませんか。
先に結論を書きます。ボーナスをもらってから辞めるのは「アリ」です。ただし、辞める前に就業規則で2つのことを確認しておかないと、もらえるはずのボーナスを取りこぼしたり、希望日に辞められなかったりします。
僕は29歳でフリーターから正社員になり、そこから4社を経験しました。1社目は賞与なし、2社目は基本給10万円未満で、決算賞与は2万円でした。「ボーナスを待つかどうか」で悩めるだけの額があるのは、正直うらやましい話です。だからこそ、その額をきちんと受け取ってから、損のない順番で動いてほしいと思っています。

ボーナスもらってすぐ辞めるのって、さすがに図々しくない…?

支給の条件を満たしているなら、何も悪くありません。ボーナスは基本的に「これまで働いた期間」をもとに決まるお金です。
結論:ボーナス後に辞めるのは「アリ」。ただし就業規則を先に見る
まず気持ちの面から。ボーナスをもらってから辞めることに、後ろめたさを感じる必要はありません。
多くの会社では、賞与は「査定期間」と呼ばれる過去の一定期間の働きぶりをもとに決まります。つまりすでに働いた分の報酬であって、「これからも働き続けます」という約束の対価ではありません。
ただし、賞与をいつ・どんな条件で払うかは、会社ごとに決まりが違います。労働基準法では、賞与などの決まりを設けている会社は、それを就業規則に書くことが求められています(労働基準法第89条。常時10人以上を雇う会社が対象)。辞めると決める前に、まず就業規則を開いてください。
就業規則で確認すること2つ
① 賞与の「支給日在籍要件」
いちばん大事なのがこれです。就業規則に「賞与は支給日に在籍している者に支給する」といった一文がある会社があります。この場合、支給日より前に退職日を設定すると、査定期間に働いていても受け取れない可能性があります。
確認するのは次の3点です。
- 支給日はいつか(「7月◯日」と決まっているか、「7月中」など幅があるか)
- 支給日に在籍していることが条件になっているか
- 退職予定者の減額について書かれていないか
読んでもよくわからなければ、総務や人事に「賞与の支給条件を確認したい」とだけ聞けば十分です。辞めるつもりだと伝える必要はありません。
② 退職の「申し出の期限」
もうひとつが、「退職は◯か月前までに申し出ること」という規定です。期限は会社によって1か月前、2か月前などさまざまです。
ちなみに法律上は、正社員のように期間の定めのない雇用であれば、辞めると申し入れてから2週間がたてば契約は終わるとされています(民法第627条第1項)。
僕が1社目の人材派遣会社を約半年で辞めたときは、この2週間のルールを自分で調べました。そのうえで「この日に辞めます、ありがとうございました」と辞表を出しています。辞めると決めてから、すぐに動きました。
とはいえ、ボーナス後に円満に辞めたいなら、就業規則の期限に合わせて逆算しておくのが無難です。支給日と申し出の期限、この2つを並べてカレンダーに書き込むと、「いつ切り出すか」が自然に決まります。

支給日より前に「辞めます」と言うのは避けたほうが安心です。切り出すのは、振り込みを確認してからにしましょう。
本当に危ないのは「勢いで次を選ぶこと」
ボーナスの条件さえ確認できれば、辞めること自体は怖くありません。危ないのは、まとまったお金が入って気が大きくなっているときに、中身を確かめずに次の会社を選ぶことです。
「今の会社を出られるならどこでもいい」「今よりひどい会社なんてないだろう」。そう思った瞬間に、次の会社の条件を確かめる理由がなくなってしまいます。
僕の2社目は、年間休日84日・毎日終電・基本給10万円未満の会社でした。月給は23万円ありましたが、基本給は10万円に届かず、残りは手当など。固定残業代20時間分も含まれていました。
賞与を「基本給の◯か月分」で決める会社なら、月給の額が同じでも、基本給が低いほど賞与は小さくなります。次の会社を選ぶときは、月給だけでなく基本給と手当の内訳、年間休日の日数まで確かめてください。
ちなみに3社目の面接では、年間休日を自分から直接聞きました(答えは「120日」)。聞きにくいことですが、入ってから知るより、ずっといいです。
ボーナスを待つか迷っているなら、体調と天秤にかける
一方で、「ボーナスまでは我慢しよう」と辞める時期を延ばしている人もいると思います。
僕は2社目を辞めようとして、3回先送りしました。その間に、日曜の夜になるとお腹が痛くなるようになりました。転職活動を始めたのは、結局、体が悲鳴を上げてからです。
2社目は大変な会社でしたが、営業に加えてマーケティングやWeb運用も任され、経験と実績を得られました。「人生に無駄はない」と思っています。それでも、体を壊してまで待つ価値のあるボーナスは、たぶんありません。
待つなら「支給日まではいる」と期限を決め、その間に次の準備を進める。期限を決めずに待つと、ボーナスの次はまた次のボーナスまで、とずるずる延びていきます。
辞める前にやるべき「正しい順番」
ここまでをまとめると、順番はこうなります。
① 就業規則で「支給日在籍要件」と「申し出の期限」を確認する
支給日と、退職を申し出る期限をカレンダーに書き込みます。ここが決まらないと、ほかの予定が立てられません。
② 在職中に、次の選択肢を集める
ここが最重要です。「辞めてから探す」ではなく「探しながら辞める準備をする」。
在職中に動くメリットは、お金の不安がないこと以上に、「断れる」という一点に尽きます。今の会社という居場所があるから、条件の悪い求人を冷静に断れる。この余裕が、次の職場の質を決めます。僕も1社目から2社目に移ったときは、次が決まってから辞めたので、無職の期間はありませんでした。
③ 退職を切り出すのは、ボーナスの振り込みと内定を確認してから
引き止めにあっても、次が決まっていれば心が揺れにくくなります。「もう次が決まっていますので」の一言は、どんな説得よりも強いです。
在職中の転職活動が「しんどい」ときは、探す作業を人に任せる
とはいえ、正論はわかっていても現実は厳しい。働きながらの転職活動は、単純に時間がありません。毎日終電、年間休日84日のような職場にいたら、求人を一件ずつ読み比べる時間はほとんど取れないはずです。
そういうときに頼れるのが転職エージェントです。一般的に、次のような手間を代わりに引き受けてくれます。
- 希望を伝えれば、条件に合う求人を紹介してくれる(探す時間が減る)
- 面接の日程調整を代行してくれる(在職中はこれが助かります)
- 年間休日や残業の実態など、求人票だけではわかりにくいことを確認できる
3つ目は、先ほどの「年間休日を直接聞く」と同じ話です。自分で面接官に聞きにくいことを、間に入った人に確認してもらえるのは大きな利点です。
首都圏で20〜30代の転職を考えているなら、type転職エージェントのように地域と年代を絞ったエージェントが、話が早くて使いやすいです。登録も相談も無料で、「まだ辞めるか決めていない」段階でも使えます。
動き出すのは今、辞めるのは準備ができてから
ボーナスが出た直後は、辞めたい気持ちがいちばん強くなる時期かもしれません。ただ、今すぐ辞める必要はありません。今やるのは情報を集めることだけです。
下半期(10月)の入社を見込んだ募集や、ボーナス後に辞めた人の後任の募集が出ることもあります。どの時期に求人が多いかは業界や職種によって違うので、「時期を待つ」より「自分が動ける時期に動く」ほうが確実です。実際に辞めるのは秋でも冬でもかまいません。
まとめ:もらってから辞めるのは正しい。ただし「順番」を守る
最後に整理します。
- ボーナスをもらってから辞めるのは問題ない。基本的に、すでに働いた分の対価です
- ただし就業規則の「支給日在籍要件」と「退職の申し出期限」を先に確認する
- 切り出すのは、振り込みを確認してから
- 次を決めるときは、中身を確かめる。年間休日の日数、基本給と手当・固定残業代の内訳は、決める前に必ず聞く
- ボーナスを待つなら期限を決める。体を壊してまで待たない
- 時間がないなら探す作業を人に任せる。それだけで在職中でも動けます
今つらいなら、辞めていいんです。ただ、辞めたあとの自分がちゃんと笑えているように——順番だけは、守ってあげてください。




