求人は見つかりました。未経験歓迎、年間休日120日、通えるところ。悪くありません。
応募フォームを開いて、そこで止まります。
志望動機。
やりたいことがあるわけじゃない。その業界に詳しいわけでもない。条件が良かったから応募したい——でも、それは書けない。カーソルが点滅したまま、30分が経ちます。

正直、給料と休みで選んどるだけやからな。そんなん書けるかい。

僕もそうでした。というか、いま働いている業界に、入社時点で興味はありませんでした。
先に言います。「熱意」を作ろうとすると書けません
志望動機が書けない人は、たいてい真面目です。嘘を書きたくないから止まっているのであって、文章力の問題ではありません。
そして多くの記事が「熱意を伝えましょう」と書きます。これが止まる原因です。ない熱意は作れないからです。作ろうとすると、どこかで読んだような文章になります。
ここで発想を変えます。採用担当が志望動機で見ているのは、熱意ではありません。「この人はうちで続くか」です。
これは僕が新聞記者として、人事担当者に取材で聞いた話とも一致しています。未経験を採る側がいちばん恐れているのは、3か月で辞められることです。教育コストが全部消えるからです。
つまり志望動機とは、「私はここで続きます」の根拠を並べる欄です。好きかどうかは、実はそこまで問われていません。
順番を変える。「やりたいこと」は最後でいい
書けない人は、たいていこの順番で考えています。
やりたいこと → だからこの会社 → だから採ってほしい
やりたいことが空欄なので、この時点で全部止まります。
代わりに、この順番で書いてください。
| 順番 | 書く内容 | これは事実なので書ける |
|---|---|---|
| ① | なぜ「働き方を変えよう」と思ったか | 自分の話。嘘をつく必要がない |
| ② | なぜ「この職種」なのか | 自分の経験と接点があればいい |
| ③ | なぜ「この会社」なのか | 求人票と会社サイトに書いてある |
| ④ | 入ってから何をするつもりか | 意思なので、いま決めれば事実になる |
ポイントは、①と②が自分の過去、③が相手の情報、④が未来という構成になっていることです。「やりたいこと」は④に少し混ぜるだけで足ります。
①「働き方を変えたい」は、そのまま書いていい
ここでつまずく人が多いので、はっきり書きます。
「安定した働き方をしたいと考えた」は、志望動機として成立します。
言い方だけ整えます。
| そのまま言うと弱い | こう書き換える |
|---|---|
| 正社員になりたいから | 短期の仕事を続けるなかで、一つの場所で経験を積み上げる働き方に変えたいと考えるようになりました |
| 給料を上げたいから | 成果や経験が評価につながる環境で働きたいと考えています |
| 休みが多いから | 長く続けることを前提に、生活のリズムを整えられる環境を選びたいと考えました |
嘘は一つもありません。本音の粒度を、相手に伝わる言葉に翻訳しているだけです。ここを「不純だから隠そう」とすると、動機の芯がなくなって、薄い文章になります。
②「この職種」は、経験との接点を1つ見つければいい
未経験なのだから、経験はありません。探すのは接点です。
- 接客をしていた → 人と話すことに抵抗がない(営業・販売・カスタマーサポート)
- 倉庫や工場にいた → 手順を守ること、数を管理することが身についている(製造・物流・事務)
- シフトを組んでいた → 人の予定を調整した経験がある(管理・事務・調整業務)
- 個人でやっていたこと → 段取りと締め切り管理をしていた
「関係あることにしていいのか」と思うかもしれませんが、採用側はまさにそこを見ています。未経験を採るとき、見るのは経験そのものではなく、「この人の持っているものが、うちの仕事に転用できるか」です。転用の道筋を、応募者が自分で示している——それだけで印象は変わります。
③「この会社」は、求人票を読み込めば書ける
ここは調べる作業です。感情はいりません。会社サイトの「事業内容」と「採用ページ」、それと求人票の3つを開いて、次のどれかを1つ見つけてください。
- 未経験の育成について書いてあること(研修期間、同じ経歴の先輩の話)
- 会社が力を入れていると明言している事業
- その会社にしかない条件(地域密着、扱っている商材、社歴)
そして、それと①で書いた自分の理由をつなげます。「未経験からの育成に時間をかけていると書かれていた。だから、一つの場所で積み上げたいという自分の考えと合っている」。これで③は終わりです。
取材で聞いたなかでは、企業側が最も重く見ていたのが「うちのことをちゃんと読んできたか」でした。詳しくは採用で最も重視されるのは「企業理念への共感」だった。新聞記者が人事担当者に聞いたリアルな声に書いています。
使わないほうがいい定番フレーズ3つ
①「勉強させていただきたいです」
会社は学校ではありません。お金を払う側が、お金をもらう側に教育の場を求めている構図になります。書くなら「早く戦力になれるよう、◯◯を先に身につけておきます」。同じ姿勢でも、方向が逆になります。
②「御社の理念に共感しました」だけ
共感は結論であって、理由ではありません。理念のどの一文が、自分のどの経験と重なったのか。ここを一行入れるかどうかで、まったく別の文章になります。
③「未経験ですが頑張ります」
未経験なのは求人側も分かって募集しています。頑張るのは前提なので、情報がゼロです。書くなら「未経験なので、入社までに◯◯(資格・書籍・講座)に手をつけています」。事実があると、頑張りますが証明に変わります。
面接でのこの手のNGについては、面接で必要なのは他者目線。企業が求める答えを考えよう。にもまとめてあります。
僕の場合、志望動機に「興味があります」は入れませんでした
33歳で業界紙の記者に応募したとき、正直に言うと、その業界に興味はありませんでした。
応募した理由は「書く仕事がしたかった」ことと、「未経験可の求人が実際に出ていたこと」。この2つだけです。業界への思い入れはゼロでした。
なので志望動機には、業界の話をほとんど書きませんでした。書いたのは、なぜ書く仕事なのか、これまで何を続けてきたか、そして入ってから何を身につけるつもりかです。
それで通りました。逆に、無理に「御社の業界に以前から関心があり」と書いていたら、面接で深掘りされて崩れていたと思います。知らないことは、書かないほうが安全です。

興味は、入ってから湧きました。順番が逆でも、仕事は成立します。
それでも書けないときは、しゃべってから書く
ここまでの型で埋まらない場合、原因はだいたい一つです。自分の経験を、自分で説明したことがない。
頭のなかにあるものは、まだ言葉になっていません。書こうとすると空白に見えますが、話すと出てくることがあります。人に一度しゃべった内容は、そのまま文章になります。
だから、誰かに聞いてもらうのがいちばん早いです。友人でも構いませんが、聞き慣れている相手のほうが引き出しは上手です。
20代なら、20代フリーター向けのミラフリのような、フリーター・既卒を前提にした無料相談が向いています。「志望動機が書けない」という状態そのものが、いちばんよくある相談だからです。オンラインで話せるので、フォームを開いたまま相談できます。
すでに何社か応募していて、書類で落ち続けているなら、書き方より応募先の選び方を疑ったほうが早いです。第二新卒エージェントneoは既卒・フリーター向けの求人を扱っているので、そもそも土俵が合っているかを確認できます。
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まとめ
- 志望動機が書けないのは文章力の問題ではなく、「やりたいこと」から書こうとしているから
- 採用側が見ているのは熱意ではなく「この人は続くか」。志望動機はその根拠を並べる欄
- 順番は①働き方を変えたい理由 → ②職種との接点 → ③この会社である理由 → ④入ってからやること
- 「安定した働き方をしたい」はそのまま志望動機になる。言い方だけ整える
- 「勉強させていただきたい」「頑張ります」「理念に共感」だけは情報量ゼロなので避ける
- 興味がないことは書かない。面接で崩れるのは、無理に足した部分
志望動機は、自分を作り変える作業ではありません。すでに持っているものを、相手が読める順番に並べ替える作業です。並べ替えなら、今日できます。
書き上げたあと、書類がなかなか通らないと感じたら、原因が書類ではない可能性もあります。そのときは転職エージェントに断られたフリーターへ。原因は経歴ではなく「組み合わせ」ですを読んでみてください。




