バンドや舞台を続けながらバイトで暮らしていると、ある年齢から急に気になり出します。

「就職するなら、何歳までなんだろう」

僕は大学を出てから29歳まで、舞台とバンドをしながらフリーターをしていました。持っていた資格は普通免許だけ。就活を始めたのは29歳です。

先に答えを書きます。法律で決まった「何歳まで」はありません。ただ、職歴がない人を正社員として一から育てる求人には、「35歳未満」という線が引かれていることがあります。20代後半なら、まだその枠の中にいます。ただし、残りは思っているより短いです。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

バンド、あと1年だけやってから考えよう思てんねん。30までに就職すればええやろ?

ともふみ
ともふみ

30歳で間に合わないとは言いません。ただ、「間に合うか」より「そのとき使える枠がどれだけ残っているか」で考えてください。

 

結論:法律上の上限はない。ただ「経験不問で育てる枠」は35歳未満が基本です

まず、法律の話を短くします。

会社が人を募集するとき、年齢で制限をかけることは原則として禁止されています(労働施策総合推進法 第9条)。求人票に「30歳まで」と書くことは、本来できません。

ただし例外があります。厚生労働省が「例外事由3号のイ」と呼んでいるもので、中身はこうです。

  • 長く勤めてもらって、社内で一から育てることが目的の募集であること
  • 期間の定めのない契約(正社員など)であること
  • 職業経験を問わないこと。新卒と同じような扱いで育てること

この条件を満たせば、会社は年齢の上限をつけて募集できます。そして厚生労働省のQ&Aには、この例外は「基本的には、35歳未満の若年者を想定したもの」と書かれています(条件によっては「40歳未満」の求人が認められる場合もある、とも書かれています)。

これをバンドマンや役者の目線で読み直すと、こうなります。

職歴がないことを前提に、正社員として採ってくれる枠は、基本的に35歳の手前までです。

年齢職歴なしから見た状況
25〜29歳経験不問で育てる枠のまん中。応募できる求人がいちばん多い
30〜34歳枠には入っている。ただ、同じ求人に20代も応募してくる
35歳〜この例外による枠からは外れやすい。年齢不問の求人で、経験のある人と並んで比べられる

「35歳を過ぎたら就職できない」という意味ではありません。比べられる相手が変わる、という意味です。職歴がない人にとって、この差は小さくありません。

 

29歳で就活を始めた僕の数字

ここからは僕の話です。きれいな成功談ではありません。

やめるきっかけは、コロナでした。28歳のとき、決まっていたスケジュールがすべて吹っ飛びました。当時付き合っていたパートナーとの将来も考えて、そこで区切りをつけると決めています。

就活を始めたのは翌年、29歳の2021年です。大学を出てからずっと舞台とバンドをしながらフリーターをしていたので、正社員の職歴はゼロ。資格は普通免許だけでした。

  • 書類は、ほとんど通りませんでした。
  • 応募した数は正確に覚えていません。100件くらい出したかもしれない、というくらいうろ覚えです
  • 面接まで行けたのは10社ほどです

最終的に内定をもらって、1社目は人材派遣会社の営業職に入りました。月給は22万円です。

ただ、ここで「めでたしめでたし」にはなりませんでした。1社目は約半年で辞めています。会社のやり方に法令順守の面で納得できないところがあったことと、コロナ禍の飛び込み営業という営業スタイルが合わなかったことが理由です。次を決めてから辞めたので、無職の期間はありませんでした。

2社目はインテリア用品の会社の営業で、年間休日84日・基本給10万円未満という条件でした。そこに約2年半いて、売上と粗利を前年比で約200%にして主任になりました。その経験で32歳のときにWebマーケの部門に採用され、33歳で未経験から業界紙の新聞記者になっています。

ともふみ
ともふみ

29歳で始めて、1社目で当たりを引けるほど甘くはありませんでした。でも、1社目に入れたから2社目以降がありました。

振り返って思うのは、29歳のスタートは、最初の1社で完成させるものではないということです。まず正社員の職歴を1行つくる。そこから動ける範囲が広がりました。

 

「やめるかどうか」と「就活を始めるかどうか」は、別々に決めていい

バンドや舞台を続けている人が就活で止まる理由の一つは、就活を始めること=夢を諦める宣言だと感じてしまうことだと思います。

この記事では「やめろ」とは書きません。続けるかどうかは、その人にしか決められないからです。

ただ、次の2つは分けて考えられます。

  • 活動を続けるかどうか(自分の中で決めること)
  • 就職の準備を始めるかどうか(求人を見る、職歴を書き出す、相談する)

後者は、活動を続けたままでも始められます。求人を眺めるだけなら1日30分で済みますし、土日休みや残業の少ない求人を選んで、働きながら活動を続けることを考える人もいます。

大事なのは、準備を始める日を先に決めることです。35歳から今の年齢を引いてください。28歳なら7年、29歳なら6年。その年数の中で、書類がほとんど通らない時期を何か月か過ごす可能性があります。僕がそうでした。

 

舞台やバンドの経歴は、履歴書と面接でどう扱うか

ここで迷う人も多いと思うので、要点だけ書きます。

履歴書の職歴欄に書くのは、アルバイト先です。舞台やバンドの活動は、報酬を受けて雇われていたのでなければ職歴欄の対象ではありません。書くなら、自己PRや面接で話す材料になります。

そして面接で聞かれるのは、活動の中身よりも次の2つです。

  1. なぜ、いま就職するのか
  2. 入社したあと、すぐに辞めないか

活動の実績を大きく語る必要はありませんし、恥ずかしそうに隠す必要もありません。「なぜ今か」を自分の言葉で言えるかどうかのほうが、ずっと見られています。

空白に見える期間をどう説明するかはフリーターの空白期間、面接でどう説明する?元バンドマンの僕の答え方に、書類そのものの作り方は正社員経験なしでも就職できる|29歳・書類がほとんど通らなかった僕が受かった会社の違いにまとめています。

 

20代後半のうちにやること(順番どおり)

最後に、いま20代後半の人がやることを順番に並べます。

①「35歳まで何年あるか」を数える

上に書いたとおりです。数字にすると、「あと1年だけ」の重さが変わります。

②「経験不問・正社員」の求人を実際に見る

自分の住んでいる地域で、職歴なしから応募できる正社員の求人がどれくらいあるかを、一度見てください。想像の中の就活と、実際の求人の数は違います。多いと感じるか、少ないと感じるかで、動き出す時期の判断が変わります。

③ 書類は「ほとんど通らない」前提で数を出す

職歴がない状態だと、1社ずつ丁寧に出して結果を待つやり方では時間が足りません。僕は面接まで行けたのが10社ほどでした。落ちるたびに止まらないことが、いちばん大事でした。

④ 一人で探さず、20代向けの窓口を使う

職歴なしで、何の仕事なら応募できるのかも分からない。この状態で求人サイトを一人で見続けると、たいてい手が止まります。

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30歳を過ぎてからの動き方は30歳フリーターは手遅れ? 29歳・職歴ゼロから正社員になった僕が、本当の「期限」と今日やることを答えますに詳しく書いています。

 

まとめ

  • 就職に法律上の「何歳まで」はない。年齢制限は原則禁止(労働施策総合推進法 第9条)
  • ただし、職歴を問わず正社員として一から育てる求人は、年齢の上限をつけられる。厚生労働省の説明では基本は35歳未満
  • 35歳を過ぎると、経験のある人と同じ土俵で比べられやすくなる
  • 僕は29歳・資格は普通免許だけで始めて、書類はほとんど通らず、面接まで行けたのは10社ほどだった
  • 1社目は約半年で辞めたが、正社員の職歴が1行できたことで、そこから4年で4社を経て33歳で記者になった
  • 活動を続けるかどうかと、就職の準備を始めるかどうかは、別々に決めていい

「何歳まで」を調べている時点で、頭のどこかでは準備を始める時期を探しているのだと思います。

活動をやめるかどうかは、急いで決めなくていい。ただ、準備を始める日だけは、今日決めてください。

アラサーのフリーターが動き出すときに僕が決めた基準はアラサーフリーターの現実と抜け出し方|29歳・職歴ゼロから正社員になった僕が決めた3つの基準に、全体の流れは29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでにまとめています。