内定が出ました。10月1日入社。

ここまで来ると、たいていの人は一度気が抜けます。長かった書類選考も面接も終わって、あとは初日を待つだけ——のように見えます。

ただ、フリーターから正社員になる場合、この「あとは待つだけ」の1か月に固有の落とし穴があります。しかも3つあります。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

受かったんやから、あとは初日に行くだけやろ。何を準備すんねん。

ともふみ
ともふみ

お金です。入社してから最初の給料日まで、収入がない期間ができます。

 

10月入社が多いのは偶然ではありません

この時期に入社日が10月1日で設定されるのには理由があります。多くの企業が4月〜9月を上半期、10月〜3月を下半期としているからです。下半期のスタートに合わせて人を入れるほうが、配属も予算も研修も組みやすい。

つまり9月は、「内定は出たが、まだ働いていない」人が集中する月です。求人が動く理由そのものは9月・10月は転職のチャンス?下半期に求人が増える理由と、動き出す時期の決め方に書いたので、ここでは決まったあとの話だけをします。

 

穴①:初給料までの「収入がない期間」を計算していない

これがいちばん大きい穴です。

正社員の給料は、多くの会社が月末締め・翌月払いです。仮に10月1日入社、締めが月末、支給が翌月25日だとすると——

時期 収入
9月 バイトを辞めていれば、働いた分だけ(減っている)
10月 働いているが、給料日はまだ来ない
11月25日 ようやく初給料(10月分)

入社してから初給料まで、およそ2か月間ほぼ無収入になります。しかもこの期間に、スーツ、靴、カバン、定期券、場合によっては引っ越しの費用が出ていきます。

やることは3つです。

  • 給料の締め日と支給日を、内定通知か労働条件通知書で確認する——「25日締め当月末払い」なら谷は浅く、「月末締め翌月25日払い」なら深い。ここを見ずに計算はできません
  • 初回が日割りかどうかを聞く——1日入社なら満額のことが多いですが、途中入社だと日割りです
  • 入社月+翌月の生活費を、いま手元にあるお金で払えるか計算する——足りないなら、バイトを辞める時期を後ろにずらします

僕の場合、就職活動そのものを支えたのはバイト代と、売ったバンド機材のお金でした。あのとき現金を作っていなかったら、入社前後で詰んでいたと思います。フリーター時代の家計の実額は時給1100円・月160時間で一人暮らし。フリーター時代の家計を全部書きますに全部書きました。

 

穴②:保険と年金の切り替えを、会社任せにしている

ここは「会社がやること」と「自分でやること」が分かれています。混ざると、二重に払ったり、無保険の期間ができたりします。

手続き 誰がやるか
厚生年金への加入 会社
健康保険(社会保険)への加入 会社
国民健康保険をやめる届出 自分(住んでいる市区町村の窓口へ)
国民年金から厚生年金への切り替え 会社(自分での届出は不要なことが多い)
住民税の払い方 会社に確認(自分で払い続ける場合あり)

いちばん忘れられるのが国民健康保険の脱退です。会社の保険証ができても、国保は自動では止まりません。届け出るまで請求が続きます。新しい保険証(または資格情報のお知らせ)が届いたら、それを持って市区町村の窓口へ——これを入社月のうちにやってください。

それから、フリーター時代の住民税です。前年の収入に対してかかっている分を自分で納めている場合、入社しても、その分は自分で払い続けることがあります。給料から引かれる形(特別徴収)に切り替わるかどうかは会社によります。入社時に総務へ一言聞けば済みます。

※手続きの細かい扱いは自治体と会社によって違います。ここは「自分で確認する項目のリスト」として使ってください。

 

穴③:入社時に出す書類で、フリーターだけがつまずくところ

初日までに提出を求められる書類は、だいたい決まっています。ただしフリーターの場合、そもそも持っていない書類があります。

書類 フリーターの場合
年金手帳・基礎年金番号通知書 手元にないことが多い。番号が分かれば足りる場合が多く、不明なら年金事務所で確認できる
雇用保険被保険者証 バイトで雇用保険に入っていなければ、そもそも存在しない。「加入していません」と伝えれば新規で作られる
源泉徴収票 その年にバイト収入があれば必要。辞める前にバイト先へ依頼しておく
マイナンバーが分かるもの 通知カードかマイナンバーカード。見当たらないなら早めに探す

ここで焦る必要はありません。「持っていない」は珍しくないし、伝えれば会社側で処理できます。まずいのは、初日の朝に気づくことです。

とくに源泉徴収票は、バイトを辞めたあとに頼むと手間が増えます。辞めると伝えるタイミングで、一緒に依頼しておいてください。

 

バイトを辞める順番を間違えない

順番はこれです。

内定通知(書面)を受け取る → 入社日を確定させる → バイト先に退職を伝える

口頭の「採用でいきましょう」だけで辞めないでください。まれに条件が食い違います。紙かメールで、入社日と給与条件が書かれたものを受け取ってから動くのが安全です。

伝える時期は、入社日の3〜4週間前が現実的なラインです。シフトが月単位で組まれている職場なら、次のシフトが作られる前に言うのが親切です。円満に終わったほうがいい理由は単純で、源泉徴収票を頼む相手がそこにいるからです。

なお、入社ぎりぎりまでバイトを続けるかどうかは、穴①の計算次第です。お金に余裕がないなら、入社日の直前までシフトを入れて構いません。この判断については就職活動中、バイトはいつ辞める? 月160時間シフトで就活した僕の答えに詳しく書きました。

 

入社日までの残り時間で、やっておくと差がつくこと

準備が済んだら、あとは体を作る話です。ここは3つだけ。

① 起きる時間を先に合わせる

夜のシフトが多かった人ほど、ここが効きます。初日から朝型に切り替えるのは無理です。入社の1週間前から、出社と同じ時間に起きておく。これだけで最初の1週間の消耗がまったく違います。

② 通勤経路を一度、平日の朝に通しておく

所要時間は、地図アプリの数字と実際の朝で変わります。乗り換えの混み方も含めて、一度だけ本番と同じ時間帯に歩いてみてください。

③ 業界の言葉を10個だけ覚える

入社までに勉強を頑張る必要はありません。ただ、会議で出てくる単語が全部分からないと、聞くことすらできなくなります。会社サイトと業界ニュースを読んで、繰り返し出てくる用語を10個メモしておく。それだけで初週の理解度が変わります。

ともふみ
ともふみ

僕は業界にまったく興味がないまま入りました。それでも、単語だけは先に入れておいてよかったです。

未経験で入ったあと、最初の数か月に何をしたかは33歳・未経験で新聞記者になった話。選んだ理由は「求人が出ていたから」ですに書いています。

 

まだ決まっていない人へ

この記事を「まだ内定が出ていないのに」読んでいる人もいると思います。その場合、10月1日入社にはもう間に合わないことが多いです。準備から入社まで、順調でも2か月半はかかるからです。

ただ、10月入社を逃しても11月1日、12月1日という入社日は普通にあります。年内を狙う場合の実質的な締め切りは年内に正社員になるための逆算カレンダーに書いたとおりです。

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まとめ

  • 10月入社が多いのは下半期の始まりだから。9月は「決まったが、まだ働いていない」月
  • 最大の落とし穴は初給料までの無収入期間。月末締め翌月払いなら、入社から約2か月後が初給料
  • 締め日・支給日・初回が日割りかを、労働条件通知書で確認する
  • 国民健康保険の脱退は自分でやる。会社は止めてくれない
  • 年金手帳・雇用保険被保険者証は「持っていない」で構わない。初日の朝に気づくのがまずい
  • 源泉徴収票はバイトを辞めると伝えるときに、一緒に依頼しておく
  • 辞めるのは書面の内定と入社日が確定してから。3〜4週間前が現実的

内定が出た日は、たしかにゴールのように感じます。ただ実際には、ここからの1か月の段取りで、入社後3か月の余裕が決まります。お金と書類だけ先に潰しておけば、初日は身ひとつで行けます。