僕の2社目の求人票には、休日について「日曜日+平日1日、週休二日制」と書いてありました。

雇用契約の段階で出てきた条件は、月の休みが7日、年間84日。年末年始やお盆の休みは、有給休暇を使う扱いでした。基本給は10万円を切っていて、額面の残りは手当で埋められていました。

そして僕は、それが分かったうえでサインしました。「この条件では働けません」とは言えませんでした。

そこから2年半、その会社で働きました。この記事は、そうならないために内定が出たあと、どこを見て、何を聞けばよかったのかをまとめたものです。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

いや、内定出たのに条件の話なんかしたら、取り消されそうで怖いやん。

ともふみ
ともふみ

僕もまさにそう思って黙りました。でも、確認しただけで取り消されることは、まず考えにくいです。理由は後で書きます。

 

なぜ、分かっていて何も言えなかったのか

理由ははっきりしています。ようやく漕ぎ着けた雇用契約だったからです。

29歳まで職歴ゼロのフリーターで、正社員としての経歴は1社目の半年だけ。そんな自分が、紆余曲折を経てようやくたどり着いた契約の場です。そこで条件に異を唱えたら、全部なくなる気がしました。

もう一つは、面接の段階で休日の中身を確認していなかったことです。求人票の「週休二日制」を、毎週2日休めるものだと思い込んでいました。だから比べる材料も、聞くべき質問も、手元にありませんでした。

結果として、会議は朝8時半と夜19時半から。9時始業なのに8時半出社が暗黙のルール。倉庫には空調がなく、夏は暑く冬は寒い。数字の詳細は【閲覧注意】ブラック企業で働いてわかったこと。リアル給与明細を見て震え上がれに、給与明細ごと載せています。

条件は、入ってから知っても変えられません。変えられるのは、サインする前だけです。

 

見るべきは求人票ではなく「労働条件通知書」

求人票は、応募を集めるための案内です。実際に働く条件が書かれるのは、内定後に渡される労働条件通知書(または雇用契約書)のほうです。

会社は、労働契約を結ぶときに労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条)。賃金、労働時間、休日などは書面で示すことになっていて、口頭の説明だけで済ませていいものではありません。まだ受け取っていないなら、承諾の前に「見せてください」と言っていい書類です。

見る場所を、僕の2社目の実際の条件と並べておきます。

確認する項目 見るポイント 僕の2社目
休日 年間休日の日数。「週休二日制」か「完全週休二日制」か。年末年始・夏季休暇は休日か、有給消化か 月7日・年84日。年末年始やお盆は有給扱い
賃金の内訳 基本給はいくらか。手当は何がいくらか 額面23万円のうち、基本給は10万円未満
固定残業代 何時間分で、いくらか。超えた分が支払われるか 20時間分込み。超えた分は出なかった
労働時間 始業・終業の時刻。休憩時間 書面は9時〜18時。実際は8時半出社
賞与 「あり」の支給条件。前年の実績 会社に利益が出た年だけ。額は数万円

最後の行の「労働時間」だけは、書面を見ても分かりません。書面上は9時始業でした。ここは入ってからしか分からない部分なので、後で書く「聞き方」でカバーします。

 

「週休二日制」と「完全週休二日制」は別物です

ここは僕がいちばん痛い目を見たところなので、分けて書きます。

  • 完全週休二日制:毎週、必ず2日休みがある
  • 週休二日制:月に1回以上、2日休める週がある(毎週とは限らない)

一文字違うだけで、年間の休みは大きく変わります。目安として、毎週2日休めて祝日も休みなら、年間休日は120日前後になります。僕の84日とは、年に30日以上の差です。

もう一つ見落としやすいのが、年末年始やお盆が「休日」なのか「有給休暇の消化」なのかです。僕の会社は後者でした。休みの数は同じに見えても、有給が自由に使えなくなるので、実質の休みはさらに減ります。

休日が84日から125日になって何が変わったかは年間休日84日だった僕が、125日になって人生が変わった話に書きました。

 

固定残業代は「基本給」を計算し直す

「月給23万円」と書いてあっても、その中身は会社によってまったく違います。

固定残業代(みなし残業代)が含まれている場合、求人の段階で「何時間分で、いくらか」「超えた分は別に支払うか」を示すことが求められています。書いていなければ、確認してください。

そして、月給から固定残業代と各種手当を引いた金額が、本当の基本給です。ここが低いと、次のことが起きます。

  • 賞与が「基本給の◯か月分」だと、支給額が小さくなる
  • 手当は会社の判断で見直されやすく、収入が安定しない
  • 残業代の計算の土台が小さくなる

なお、固定残業の時間を超えて働いた分は、本来は追加で支払われるものです。僕の2社目では出ていませんでした。当時は「そういうものだ」と思っていましたが、そういうものではありません。

 

内定後に条件を聞くのは、失礼ではありません

冒頭のフリ太郎の心配に戻ります。

内定は、判例上「始期付解約権留保付労働契約」、ざっくり言えばすでに成立した労働契約として扱われます。会社側がそれを取り消すには、客観的に合理的な理由が必要とされています。書面を見せてほしい、休日の扱いを教えてほしい、と言っただけで取り消されることは、まず考えにくいです。

聞き方は、たとえばこうです。

  • 「入社の準備を進めたいので、承諾の前に労働条件通知書を拝見できますでしょうか」
  • 「年末年始や夏季の休みは、年間休日に含まれますか。それとも有給休暇の扱いでしょうか」
  • 「固定残業代は何時間分で、超えた分はどのように支払われますか」
  • 「配属予定の部署では、みなさん何時ごろに出社されていますか」

最後の質問は、書面では分からない「実際の始業時刻」を知るためのものです。聞き方を「規則」ではなく「みなさんの実際」にすると、答えてもらいやすくなります。

ともふみ
ともふみ

面接の最初から条件の話ばかりするのは、印象が良くありません。でも内定後は、条件を確認するための時間です。順番の問題です。

面接で条件の話をどう扱うかは面接で必要なのは他者目線。企業が求める答えを考えよう。に書いています。

 

求人票と違っていたら、どうするか

確認した結果、求人票と条件が違っていた場合の動き方です。

  1. 違う点を具体的に聞く。「求人票では◯◯でしたが、通知書では△△になっています。どちらが正しいでしょうか」。単純な記載ミスのこともあります
  2. 変更があるなら、書面で受け取る。求人の段階と違う条件で契約する場合、会社はその変更内容を示すことになっています
  3. 納得できなければ、承諾しない。承諾の前なら辞退は自由です。承諾したあとでも、入社前の辞退はできます

入社してから違いに気づいた場合は、労働基準監督署や、ハローワーク経由の求人ならハローワークに相談できます。

僕が同じ場面に戻れるなら、少なくとも①だけはやります。言っていたら結果がどうなったかは分かりません。ただ、2年半かけて体で知ったことを、サインの前に知ることはできたはずです。

 

自分で聞きにくいなら、間に人を入れる

それでも、内定をくれた会社に直接聞くのは気が重い、という人は多いと思います。僕もそうでした。

転職エージェント経由の選考なら、休日の扱いや残業の実態のような聞きにくいことを、担当者を通して確認できます。自分の口から言わなくて済むだけで、ずいぶん楽になります。

20代なら、20代フリーター向けのミラフリのように、フリーター・既卒からの就職を前提にしているところが合います。「初めての正社員で、何を確認すればいいかも分からない」という状態から相談できて、相談はオンラインで無料です。

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30代の方は、転職エージェントナビのように担当者を替えてもらえるところが向いています。条件の確認を頼んだのに曖昧な答えしか返ってこない担当者なら、替えてもらえばいい。そこで遠慮する必要はありません。

 

まとめ

  • 働く条件が書かれるのは求人票ではなく労働条件通知書(雇用契約書)。承諾の前に見せてもらう
  • 見るのは休日の日数と中身、基本給、固定残業代、賞与の条件
  • 「週休二日制」と「完全週休二日制」は別物。年末年始が有給扱いかどうかも確認する
  • 月給から固定残業代と手当を引いた本当の基本給を計算する
  • 内定後に条件を聞くのは失礼ではない。確認しただけで取り消されることは、まず考えにくい
  • 求人票と違っていたら、具体的に聞き、変更は書面で受け取り、納得できなければ承諾しない

僕は、分かっていて言えませんでした。フリーターから初めて正社員を目指す人ほど、同じ場面で黙ってしまうと思います。

ただ、黙ってサインした条件は、そのまま2年半続きました。内定をもらった直後の数日が、条件を確かめられるいちばん強い立場です。そこを使ってください。

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