退職代行を調べ始めると、まず目に入るのは料金です。2万円台、3万円台、5万円台。当然、安いところに目が行きます。

ただ、料金だけで選ぶと損をすることがあります。しかも、金額の差より大きい額を取り逃す可能性があります。

見るべきは、そのサービスを誰が運営しているかです。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

辞めさせてくれるんやったら、どこでも一緒ちゃうん?

ともふみ
ともふみ

「辞める」だけなら一緒です。でも有給や未払いがあると、話がまったく変わります。

 

運営元は3種類。できることが法律で決まっています

退職代行は大きく3つに分かれます。そしてどこまで会社と話せるかは、業者のやる気ではなく法律で決まっています。

運営元 できること できないこと
民間企業 退職の意思を会社に伝える 交渉は一切できない(有給・退職日・未払い賃金すべて)
労働組合 団体交渉権があるので、有給消化・退職日・未払い分の交渉ができる 訴訟や法的手続きの代理
弁護士 交渉に加えて損害賠償請求や訴訟まで対応できる (費用は高くなりがち)

ポイントは民間企業です。民間業者が会社と交渉すると、非弁行為(弁護士法違反)になります。だから「伝えるだけ」しかできません。これは業者の質の問題ではなく、構造的にそうなっています。

つまり民間業者に頼んで会社から「有給は認めない」「退職日は3か月後」と言われた場合、その業者は何も言い返せません。そこで詰まります。

 

金額に直すと、こういう差になります

抽象的なので、具体例で考えます。

ケース:月給24万円、有給が20日残っている人

有給20日分は、ざっくり22万円前後の価値があります(月給24万円 ÷ 22日 × 20日)。

費用 有給20日 差し引き
民間業者(安い) -2万円 交渉できず消化できないことも 状況次第で大きく目減り
労働組合 -2〜3万円 交渉できる 費用を大きく上回る可能性

費用の差は1万円前後。でも取り逃す可能性のある額は20万円規模です。ここが「料金より運営元」という理由です。

もちろん会社が素直に応じれば民間業者でも問題ありません。ただ、退職代行を使いたくなるような会社が、素直に応じるでしょうか。そこは考えておいたほうがいいと思います。

 

じゃあ全員が弁護士を選べばいいのか

そうとも限りません。状況によって最適解が変わります。判断の目安はこうです。

あなたの状況 向いている運営元
有給がほぼ残っていない/未払いもない/とにかく明日から行きたくない 民間企業でも可(費用重視でよい)
有給が残っている/退職日を交渉したい/会社が揉めそう 労働組合
未払い残業代がある/パワハラで請求も考えている/損害賠償をちらつかされている 弁護士

迷ったら労働組合が無難です。費用は民間とほぼ変わらないのに、交渉ができるからです。安いほうを選ぶ理由が、あまりありません。

 

具体的な選択肢

実際にどこを選ぶかですが、運営元がはっきりしているところを挙げます。

労働組合が運営:円満退職ユニオン

労働組合の運営なので団体交渉ができます。料金は加入時納入額16,000円(加入費3,000円+組合活動費1,000円+組合費2ヶ月分12,000円)。この金額には組合費2ヶ月分が含まれているため、3ヶ月目以降の組合費の扱いは申し込み前に公式サイトで確認してください。有給が残っている人が最初に検討する条件はそろっています。

円満退職ユニオンに無料で相談する ▶
労働組合運営/加入時納入額16,000円(加入費3,000円+組合活動費1,000円+組合費2ヶ月分12,000円)

運営:株式会社アレス(労働組合と連携・顧問弁護士監修):退職代行Jobs

運営は民間企業の株式会社アレスです。そのうえで労働組合(合同労働組合ユニオンジャパン)と連携しており、会社との交渉が必要な場合は組合を通して行う形です。組合への加入は任意で、顧問弁護士の監修も入っています(いずれも公式サイトより)。

料金は27,000円(税込)。組合に同時加入する「安心パックプラン」は29,000円です(2026年9月時点・公式サイトより)。「民間の手軽さで頼みたいが、揉めたときに交渉の手段も残しておきたい」という人は、こちらも候補になります。この記事のテーマどおり、申し込む前に「交渉が必要になったらどうなるか」を確認してください。

退職代行Jobsに無料で相談する ▶
民間会社運営・労働組合と連携/顧問弁護士監修・LINEで相談できます

未払い残業代の請求まで考えているなら、弁護士に直接

「残業代を取り返したい」「損害賠償をちらつかされている」という段階なら、退職代行サービスではなく法律事務所に直接相談するほうが早いです。労働問題を扱っている事務所は無料相談を設けているところが多く、まず話すだけなら費用はかかりません。

料金は変わります。ここに書いた金額は執筆時点のものなので、申し込む前に必ず公式サイトで最新の料金と対応範囲を確認してください。「追加料金なし」と書いてあっても、条件がついている場合があります。

 

依頼する前に決めておく3つ

どこに頼むにせよ、先にこれだけ決めておくと話が早く済みます。

  1. 連絡方法——会社からの連絡をどうするか。自宅への電話を止めたいなら最初に伝える
  2. 私物と貸与物——ロッカーの中身、制服、PC、社員証。郵送でやり取りする前提で整理しておく
  3. 有給の残日数——給与明細か勤怠システムで確認。これが交渉の材料になります

特に③です。残日数を把握していない人が驚くほど多いのですが、知らないまま進むと交渉のしようがありません。

「親や次の職場にバレないか」が不安な場合は、退職代行を使うと親や次の職場にバレる?結論、バレません【3つの例外だけ注意】にまとめてあります。書類には残りません。

 

まとめ

  • 退職代行は料金より運営元。民間・労働組合・弁護士で法律上できることが違う
  • 民間企業は交渉できない(非弁行為になるため)。伝えるだけ
  • 有給20日は20万円規模の価値。費用の1万円差より、取り逃す額のほうが大きい
  • 迷ったら労働組合。費用はほぼ同じで交渉ができる
  • 未払い残業代や損害賠償の話が出ているなら弁護士
  • 依頼前に連絡方法・私物・有給の残日数を決めておく

僕は年間休日84日の会社で約2年半働き、その間に辞めようとして3回先送りしました。辞め方の選択肢を知っておくだけでも、気持ちの逃げ道になります。退職代行の仕組みと、自分で辞める場合の法律(民法627条の「2週間」)は、ブラック企業を辞められないあなたへ。退職代行という選択肢【1社目を自分で辞めた僕が思うこと】に書いています。