求人票を見ても、絶対に分からないものがあります。社風です。
給与も休日も勤務地も書いてあるのに、「この会社の空気が自分に合うか」だけは、入ってみるまで分かりません。そして多くの人が、ここで辞めます。
僕は4年で4社を経験しました。そのうち2社を、社風が合わないという理由で辞めています。
おもしろいのは、その2社がまったく正反対のタイプだったことです。

社風て、要するにブラックかホワイトかやろ? ゆるい会社に入れば解決やん。

僕もそう思っていました。でも、いわゆる「ゆるくて風通しのいい会社」も、合わずに1年で辞めています。
結論:社風に良い悪いはありません。合う合わないだけです
先に結論を書きます。
社風は「良い会社かどうか」で判断できません。判断できるのは「自分に合うかどうか」だけです。
これは理屈ではなく、正反対の2社をどちらも社風で辞めた結果としてそう思っています。
そして厄介なのは、世間の評判が高い社風ほど、合わなかったときに「自分がおかしいのでは」と思ってしまうことです。僕はそうなりました。
1社目:きつい会社でした。半年で辞めています
29歳で初めて正社員になった会社は、人材派遣の営業でした。約半年で辞めています。
辞めた理由は2つあります。
1つは、法令順守の面で納得できないことがあったこと。ここは会社が特定される書き方をしたくないので詳しくは書きませんが、自分が関わりたくない進め方だと感じました。
もう1つは、営業のスタイルが合わなかったことです。コロナ禍の時期に、飛び込み営業が中心でした。そもそも派遣する人材が足りていない状況で、派遣の営業をしていました。
これは「きついから辞めた」という話に見えます。実際その面もあります。ただ、後から振り返ると体力的なきつさより、やり方に納得できなかったことのほうが大きかったです。
このときの話は早期退職の理由、本当にそれですか?半年で辞めた僕が2年後に気づいたズレに詳しく書きました。
3社目:「働きやすい会社」でした。1年ほどで辞めています
32歳のとき、介護福祉業界の会社にWebマーケの部門で採用されました。それまでの経験と実績を評価されての採用で、月給は30万円。条件だけ見れば、それまでで一番良かった会社です。
ここを1年ほどで辞めています。理由は、風土が合わなかったことです。給与でも休日でもありません。
どういう風土だったかというと、こうです。
- どちらかというと明るくにぎやかな雰囲気。「みんなで仲良く頑張ろう」という空気があった
- 上下関係は無駄という考え方で、社内ではニックネームで呼び合う
- そのほかにも、その会社独自のルールがいくつかあった
ここは強調しておきたいのですが、これは会社が悪いという話ではまったくありません。
むしろこの並びは、世の中的には「風通しがいい」「働きやすい」と紹介されるタイプです。実際、この空気が心地よくて力を発揮できる人はたくさんいると思います。
ただ、僕には合いませんでした。それだけです。

条件は良くて、会社も悪くない。なのに合わない。これがいちばん説明しづらい辞め方でした。
正反対の2社に、1つだけ共通点がありました
1社目は、数字を追う厳しい環境。3社目は、上下関係をなくしたフラットな環境。方向としては真逆です。
それでも共通していたのは、どちらも「その会社のやり方」が強かったことでした。
強い社風は、悪いものではありません。むしろ社員の方向がそろっている会社は、たいてい強い社風を持っています。問題は、その方向と自分の方向がずれていたときに、逃げ場がないことです。
ここから僕が出した結論は、これです。
社風を「ホワイトかブラックか」の軸で見ても、自分に合うかどうかは分からない。
労働条件(休日・給与・残業)は、ホワイトかブラックかで測れます。これは数字なので誰が見ても同じです。年間休日84日は、誰にとっても少ない。
でも社風は違います。同じ会社が、ある人には最高で、ある人には居心地が悪い。ここを混同すると、条件だけを見て会社を選んで、また同じことになります。
条件面の見分け方のほうはブラック企業の特徴とは?年間休日84日・基本給10万円以下の現実に書いています。こちらは数字で判断できる話です。
入社前に社風を見分ける、4つの確認方法
では、入る前にどこまで分かるのか。完全には分かりません。ただ、手がかりは取れます。
① 「社内でどう呼び合っていますか」と聞く
これは一言で社風が出ます。「◯◯さん」なのか、役職名なのか、ニックネームなのか。呼び方は、その会社の上下関係の扱いがそのまま出る場所です。
僕が3社目に入る前にこれを聞いていたら、少なくとも心の準備はできていたと思います。
② 社内イベントの頻度を聞く
「社員同士で集まる機会はどれくらいありますか」。これも直球で聞いて大丈夫な質問です。
多い会社が良い会社でも、少ない会社が冷たい会社でもありません。自分がどちらだと続けられるかという話です。ここを正直に自分に聞いてください。
③ 面接で会う人数を増やす
面接官が1人だけだと、その1人の印象しか分かりません。可能なら、配属予定の部署の人と話せないかを聞いてみてください。
「入社したら一緒に働く方と、お話しする機会はありますか」。これは失礼な質問ではなく、むしろ入社後を具体的に考えている人の質問です。
④ 面接官が2回以上使った言葉を覚えておく
面接の中で繰り返される言葉は、その会社で実際によく使われている言葉です。「家族みたいな」「体育会系」「自由に」「フラットに」。
これを拾って質問に変えると、社風の中身まで踏み込めます。拾い方は面接の逆質問、未経験は何を聞けばいい? 用意した質問より「その場で作った質問」が効く理由に書きました。

呼び方を聞くだけか。そんなもんで分かるんやな。
入ってから「合わない」と気づいたときに、確かめること
それでも、入ってから気づくことのほうが多いです。そのときに、いきなり辞める判断をしないでください。
先に、この2つを分けます。
- 慣れていないだけなのか(時間が解決する可能性がある)
- 価値観がずれているのか(時間では変わらない)
見分け方は、その違和感が「自分がまだ下手だから起きていること」かどうかです。仕事が回らない、人の名前を覚えられない、会話についていけない。これは時間で減ります。
一方で、「このやり方に納得できない」「この空気の中で何年も過ごす自分が想像できない」は、時間ではあまり変わりませんでした。僕の場合、1社目も3社目もこちらでした。
自分に合う社風が分からないなら、そこから決めるしかありません
ここまで書いておいて何ですが、いちばん難しいのは「で、自分はどっちが合うの?」という問いです。
これは求人を見ても出てきません。僕も、2社辞めて初めて言語化できました。逆に言えば2社辞めるまで分からなかったということです。
これを先に言葉にしておくと、会社選びの精度が変わります。ただ、一人でやると「給料が高いほうがいい」くらいの当たり前の結論で止まりがちです。
求人を紹介しないタイプのサービスを使う意味があるとしたら、ここです。POSIWILL CAREERは転職エージェントではなくキャリアコーチングなので、求人は出てきません。代わりに、「どんな環境なら自分が続けられるか」を言葉にするところを扱います。転職するかどうかを決めていない段階でも使えます。初回のカウンセリングは無料です。
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ただし有料のサービスです。向く人と向かない人ははっきり分かれるので、そこはキャリアコーチングは意味がないのか?有料で求人も出ない、それでも使う場面に正直に書きました。お金をかけたくないなら、上の4つの確認方法を面接でやるだけでも違います。
まとめ
- 僕は4社のうち2社を社風が合わないという理由で辞めている。しかもその2社は正反対のタイプだった
- 1社目は法令順守の面と営業スタイルが合わず約半年で退職
- 3社目は上下関係をなくしたフラットな風土が合わず約1年で退職。条件は良く、会社が悪かったわけではない
- 共通点はどちらも社風が強かったこと。強い社風は悪いものではないが、ずれると逃げ場がない
- 労働条件は良い悪いで測れる。社風は合う合わないでしか測れない
- 入社前の手がかりは呼び方・社内イベントの頻度・会う人数・繰り返される言葉の4つ
- 入ってから違和感が出たら、慣れていないだけか/価値観がずれているかを先に分ける
「社風が合わなくて辞めた」は、履歴書に書きづらい理由です。甘えだと言われることもあります。
でも、合わない場所で出せる力は限られています。僕は2社を風土で辞めて、4社目でようやく落ち着きました。遠回りに見えますが、どこが合わないかを2回はっきり知れたのは、結果として無駄ではなかったと思っています。
29歳・職歴ゼロから4社を経て33歳で新聞記者になるまでの全体像は29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでにまとめています。




