応募フォームの「正社員としての職務経歴」。

カーソルを合わせたまま、しばらく動かせない。書けることが、何もない。

29歳の僕がそうでした。大学を出てから舞台とバンドで生きていて、収入はアルバイト。職務経歴書に書ける「正社員」の行は、1行もありませんでした。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

正社員経験なしって、その時点でもう門前払いちゃうん?

ともふみ
ともふみ

会社によります。そして、その「会社による」の見分け方を知らなかったせいで、僕は落ち続けました。書類はほとんど通らなかった。

 

結論:落ちた原因は、経験がないことではなかった

先に結論を書きます。

僕が最初に落ち続けたのは、正社員経験がなかったからではありません。正社員経験がある人と競争する場所に、わざわざ応募していたからです。

求人には大きく2種類あります。

種類 会社が求めているもの 正社員経験なしの勝ち目
欠員補充の求人 辞めた人の穴埋め。即戦力。入ってすぐ回せる人 ほぼありません。経験者と同じ土俵で比べられます
増員・育成前提の求人 これから育てる人。定着と伸びしろ 十分ある。経験より人物と続く見込みで見られる

同じ「未経験歓迎」と書いてあっても、この2つはまったく別物です。前者の「未経験歓迎」は「経験者がいなければ仕方なく」という意味で、後者は「最初から未経験を採る前提で枠を用意している」という意味です。

僕が落ちた会社は、ほとんどが前者でした。

 

落ち続けた会社の共通点

当時の僕は、求人サイトで「未経験歓迎」「学歴不問」だけを頼りに応募していました。落ちた会社を後から並べると、はっきり共通点がありました。

  • 募集人数が「1名」だった——欠員補充のサインです。増員なら複数枠になることが多い
  • 「即戦力歓迎」が併記されていた——未経験も見るが、経験者が来たらそちらが優先されます
  • 研修についての記載がほぼなかった——育てる前提がない会社は、育てる予算も時間も持っていません

いま見れば分かるのですが、当時は「受かりそうかどうか」ではなく「応募できるかどうか」で選んでいました。応募資格さえ満たしていれば出す、という状態です。

その結果、書類で落ち、たまに面接に進んでも「前職では〜」という前提で質問され、答えられずに終わる。落ち続けていたとき、自分に価値がないからだと思っていました。実際は、場所を間違えていただけでした。

 

受かった会社に共通していたこと

逆に、内定が出た会社と、その後に受けて手応えがあった会社には、こういう特徴がありました。

  • 複数名の募集だった——組織を広げるための採用なので、育成の前提がある
  • 研修期間が具体的に書かれていた(「3か月のOJT」など)——未経験が入ることを想定して設計されている証拠
  • 応募条件に年齢や経験より「意欲」「人柄」が先に書かれていた
  • 離職率や定着率に触れていた——触れられるということは、悪くない数字だということです

正社員経験なしの人にとって、応募先選びが結果の8割を決めます。職務経歴書の書き方や面接の受け答えは、その次です。順番を逆にすると、いくら練習しても落ち続けます。

ともふみ
ともふみ

頑張る前に、頑張りが効く場所を選ぶ。これに尽きます。

 

職務経歴書に「書くことがない」問題

次に実務の話です。正社員経験がないと、職務経歴書が真っ白になります。ここで多くの人が手が止まります。

ただ、アルバイトの経験は職務経歴として書いて構いません。問題は「書いていいか」ではなく、書き方です。

やってはいけないのは、やったことをそのまま並べることです。

これだと弱い こう書き換える
居酒屋でホールを担当 週末はピーク時に1人で約20席を担当。新人アルバイト4名の教育も任されていました
コンビニでレジ打ち 発注業務を任され、廃棄率を意識した数量調整を担当。前年比で廃棄を減らしました
倉庫で仕分け作業 1日あたり平均◯件を処理。ミスを減らすため確認手順を提案し、チームに定着させました

ポイントは3つだけです。

  • 数字を入れる——席数、人数、件数、期間。正確でなくても「約」で構いません
  • 任された事実を書く——教育、発注、締め作業。任されたということは、信頼されていたということです
  • 自分から動いたことを1つ入れる——提案した、改善した。指示待ちではないと示せます

僕の場合は、舞台とバンドの活動もここに入れました。公演を打つのは、集客・予算管理・スケジュール調整・チーム運営の全部が入っているからです。「趣味」として書けば趣味になりますが、「運営経験」として書けば経験になります。事実は同じです。

空白期間そのものの説明については、フリーターの空白期間、面接でどう説明する?元バンドマンの僕の答え方に書いた内容がそのまま使えます。

 

「なぜ正社員にならなかったのか」への答え方

面接で、ほぼ確実に聞かれます。僕は全社で聞かれました。

ここで相手が見ているのは、過去の是非ではありません。「同じ理由で、またすぐ辞めないか」を確認しているだけです。採用にはお金がかかるので、続くかどうかが最大の関心事なんですね。

だから答えるべきは、次の3つの順番です。

  1. 事実を短く言う——「舞台とバンドを続けていたので、時間の自由が利く働き方を選んでいました」
  2. 言い訳をしない——ここで長く説明するほど、後ろめたさが伝わります。1文で終える
  3. 変わった理由を具体的に言う——「コロナで公演が全部なくなったときに、自分には積み上がるものが何もないと気づきました。だから今度は、続けることで積み上がる仕事がしたいと思っています」

大事なのは③です。「なんとなく」ではなく、変わったきっかけが具体的であるほど、また辞めるのではという不安が消えます。逆に「そろそろ安定したくて」だけだと、弱いです。安定したい気持ちは、環境が変わればまた揺れるからです。

 

一人でやると、応募先選びで詰む

ここまで読んで気づいたと思いますが、いちばん難しいのは応募先の見極めです。

求人票は良く見えるように書かれています。「アットホームな職場」「風通しの良い社風」——外から実態は分かりません。僕は2社目で年間休日84日のブラック企業を引いて、2年半を失いました。求人票には「完全週休2日制(シフト制)」と書いてありました。

正社員経験がない状態で、この見極めを一人でやるのは正直きついです。比較対象を持っていないからです。「これが普通なのかどうか」が分からない状態で選ぶことになります。

だから僕は、フリーター・既卒に特化したエージェントを使うのが現実的だと思っています。特化型は、そもそも未経験を採る前提の求人しか持っていません。前半で書いた「増員・育成前提の求人」だけが並んでいる状態です。応募先選びの失敗が、構造的に起きにくくなります。

20代のうちなら、20代フリーターに特化したミラフリが条件に一致します。「正社員経験なし」を例外ではなく前提にしているので、この記事で書いた「増員・育成前提の求人」だけが並んでいる状態に近い。求人は7万件以上、相談はオンラインで完結するので、バイトのシフトを崩さずに話せます。

同じく第二新卒エージェントneoは、既卒・フリーター・中退・高卒を対象にしたサービスなので、こちらも条件に当てはまります。職務経歴書の書き方も一緒に見てもらえるので、真っ白な状態から始める人ほど使う意味があります。

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ひとつ補足を。担当者との相性は、わりと当たり外れがあります。合わないと感じたら、我慢せず別のところも並行して使ってください。1社に絞る必要はありませんし、複数使ってはいけないルールもありません。

担当者選びから入りたい場合は、転職エージェントナビのようなマッチング型もあります。合わなければ担当を替えてもらえるので、当たりを引くまでのやり直しが効きます。

エージェント選びそのものについては、フリーター・30代の転職エージェントおすすめ|職歴なしで使った流れと、後悔しない使い方にまとめてあります。

 

あわせて読みたい:職歴なしの地方就職は難しい? 求人が少ない地域で正社員になる手順と、無料で使える窓口/アラサーフリーターの現実と抜け出し方|29歳・職歴ゼロから正社員になった僕が決めた3つの基準

まとめ:経験がないことより、場所を間違えることのほうが痛い

この記事のポイントです。

  • 正社員経験なしで落ちる原因の多くは、能力ではなく応募先選び。欠員補充の求人に出しても、経験者に勝てません
  • 狙うのは増員・育成前提の求人。複数名募集、研修の具体的な記載、定着率への言及が目印です
  • 職務経歴書はアルバイトで埋めていい。数字・任された事実・自分から動いたことの3点を入れる
  • 「なぜ正社員にならなかったのか」は、事実は短く、変わったきっかけは具体的に。相手はまた辞めないかを見ています
  • 応募先の見極めを一人でやると詰みやすい。未経験前提の求人しか持っていない特化型を使うと、失敗が構造的に減ります

僕は29歳まで、正社員経験がゼロでした。書類はほとんど通らず、自分には無理だと思っていました。

それでも33歳で、未経験から新聞記者になっています。正社員経験なしという状態は、越えられない壁ではなく、応募先を選び直せば通過できる条件でした。

ともふみ
ともふみ

落ちたときは自分を責めがちですが、まず疑うべきは応募先です。

そこからどうなったかの全体像は、29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでに書いています。