33歳、未経験で新聞記者になりました。
一般的に言えば、この年齢での未経験転職はギリギリです。というより、正直に言えばアウトの部類だと思います。20代の未経験歓迎枠には入れないし、30代に求められるのは即戦力です。どちらにも当てはまりません。
それでも受かりました。ただし——志望動機として語れるような、立派な理由はありません。

いや、記者になりたかったんちゃうん?夢とかあったやろ?

書く仕事はしたかったです。でも業界紙を選んだのは、求人が出ていたからです。
やりたかったのは「書く仕事」でした
ここだけは、はっきりしていました。
フリーター時代、僕はバンドで作詞をして、生活費のためにWebライターをやって、ブログも書いていました。ジャンルはバラバラですが、共通していたのは全部「書く」ことです。
だから職種の方向だけは決まっていました。書いて食えるところ。
ここは運が良かったと思います。職種の方向が決まっていると、求人を見るときに迷いが減ります。「何がしたいか分からないまま」次を選ぶと、早期退職につながりやすいという話は早期退職の理由、本当にそれですか?にまとめています。
でも「業界紙」を選んだ理由は、求人が出ていたからです
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
書く仕事と言えば、まず思い浮かぶのは新聞社や出版社です。僕も最初はそう考えました。でも調べてすぐ分かりました。
一般紙は、中途の求人がほとんど出ません。
新卒で採って育てる世界なので、33歳・未経験が入る隙間がそもそもない。応募したくても、募集していないんです。
一方で、業界紙・専門紙は求人が出ていました。だから受けました。
それだけです。「この業界を追いかけたい」でも「この分野に問題意識があった」でもありません。入れる扉が開いていたから、そこから入ったという順番です。

やりたいことは「職種」で決めて、業界は「求人があるか」で決める。これが現実的でした。
結果として、内定は2社でした。2社とも業界紙で、扱っている業界が違うだけです。一般紙の中途求人がほとんどない以上、入れる扉はこちら側にあった、ということでもあります。
正直に言うと、入社当初その業界に興味はありませんでした
ここも隠さずに書きます。
面接では当然それらしいことを話しました。でも本音を言えば、入社した時点で、その業界にまったく興味は持っていませんでした。
「好きなことを仕事に」という言葉からすると、失格に見えると思います。ただ、実際に働いてみて分かったことがあります。
興味は、後からついてきます。
理由は単純で、知らないから興味が湧かないだけだからです。取材して、書いて、人の話を聞いていくと、その業界の構造や、そこで働く人の事情が見えてくる。見えてくると、面白くなる。順番が逆なんです。
だから、いま「興味のある業界がない」という理由で動けずにいる人には、こう言いたいです。興味は入る前に用意しなくていい。用意すべきなのは、やれる職種のほうです。
33歳・未経験が、最初の3〜6か月でやったこと
受かったあとの話です。ここが本当の勝負でした。
33歳で未経験ということは、周りは全員が年下か、同年代でキャリアが上ということです。フリーター時代のバイト先でも年下の店長の下で働いていましたが(その話はこちら)、今回は「仕事ができないまま歳だけ食っている人」になる可能性がありました。
意識したのは、この3つだけです。
| やったこと | 具体的に |
|---|---|
| 聞く | 分からないことを、分からないまま持ち帰らない。歳のことは気にせず、そのまま聞く |
| 真似る | できる人の原稿、取材の進め方、質問の順番を、そのままなぞる |
| 見る | 自分の担当外でも、うまくいっている人が何をしているかを観察する |
特に最初の3か月から半年は、これだけを徹底しました。
やっていて気づいたのですが、これは舞台の稽古とまったく同じ構造でした。
稽古場では、新しく入った人間は必ずこうします。分からないことは聞く。うまい人の動きを真似る。自分の出番じゃないところも見る。舞台で身についた習慣が、そのまま仕事に転用できたわけです。
これは意外な発見でした。フリーター時代の経験は、職歴としては1行も書けませんが、「新しい場所への入り方」としては丸ごと使えました。
いちばん効いたのは「やる人だと思われること」
聞く・真似る・見る。これに加えて、もう一つだけありました。
とにかく、やる。
うまくやろうとしなくていいんです。頼まれたことを、まずやる。手を挙げる。そうしていると、「この人はやる人だ」と思われるようになります。
そして、そう思われた瞬間から教えてくれる人が出てきます。
これは順番が大事で、逆はありません。「教えてもらってから、やる」ではなく「やっているから、教えてもらえる」です。忙しい人は、伸びる見込みのない相手に時間を使いません。当然のことなんですが、未経験のうちは逆に考えてしまいがちです。
33歳・未経験という不利を埋めたのは、能力ではなくこれだったと思っています。
まとめると、こういう順番でした
- 職種は決めた——作詞・Webライター・ブログ。全部「書く」だった
- 業界は決めなかった——一般紙は求人が出ない。業界紙は出ていた。だから受けた
- 興味は後から来た——入社時点では興味ゼロ。知ると面白くなる、その順番
- 最初の3〜6か月は聞く・真似る・見る——舞台の稽古と同じやり方が通用した
- やる人だと思われると、教えてくれる人が出てくる——逆はない
33歳・未経験は、確かに厳しいです。求人の数は20代と比べものになりません。
ただ、「やりたい業界がないから動けない」という理由で止まっているなら、それは止まる理由になっていないと思います。僕は興味ゼロで入って、後から面白くなりました。
探し方について、ひとつだけ
この話の肝は「求人が出ている場所を選んだ」ことです。裏を返すと、求人がどこに出ているかを知らないと選べません。
僕が一般紙の求人がほぼ出ないと知ったのも、実際に探し始めてからです。業界ごとの「中途の入り口があるかどうか」は、外からは見えません。
30代で未経験の分野を狙うなら、担当者に「この職種で、いま中途を採っている業界はどこか」を聞くのが早いです。転職エージェントナビのようなマッチング型なら、合わない担当者は替えてもらえるので、当たりを引くまでやり直せます。
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逆に、職種そのものが決まっていないなら、求人を見る前にそこを固めたほうが早いです。職種の決め方で迷っている人は、キャリアコーチングは意味がないのか?も参考にしてください。

立派な志望動機がなくても受かります。扉が開いている場所を探すほうが先です。
29歳で職歴ゼロから始めて、ここに至るまでの全体像は29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでに書いています。




