正社員を目指そうと決めたとき、多くの人が最初に考えるのがこれだと思います。
「職歴がないんだから、せめて資格くらいは持っておかないと」
気持ちはよく分かります。何もない履歴書に、1行でも書けることを増やしたい。ただ、この順番で動くと、就活の開始が数か月単位で後ろにずれます。そしてその間に取った資格が、合否を分けることはあまりありません。
29歳で就活を始めたとき、僕の資格欄は「普通自動車第一種運転免許」の1行だけでした。その状態で正社員になっています。

いや、職歴もない、資格もないじゃ話にならんやろ。とりあえず簿記でも取っとこかな。

その「とりあえず」がいちばん危ないです。取る価値のある資格はあります。ただ、それは応募を止めてまで取るものとは限りません。
結論:資格のために就活を後回しにするのは、たいてい遠回りです
先に結論を書きます。
資格は「応募と並行して取るもの」で、「取ってから応募するもの」ではありません。
理由は単純で、未経験・職歴なしの採用で企業が見ているのは、資格の有無よりも「この人は続けられそうか」「なぜ今になって正社員を目指すのか」のほうだからです。ここに資格は、ほとんど答えてくれません。
もう一つの理由は時間です。資格の勉強に3か月かければ、そのぶん応募の開始が3か月遅れます。フリーターの就活では、年齢が上がることは条件が良くなる方向に働きません。30歳前後だと特にそうです。
ただし例外はあります。それは後半で分けて書きます。
僕が書類で落ち続けた理由は、資格ではありませんでした
29歳の夏、僕は大手の転職サービスに登録して、求人に十数件応募しました。
結果は、面接まで1件もたどり着けませんでした。書類で落ちるか、そもそも返信が来ない。当時のスペックは、4年制の私大卒、職歴はアルバイトのみ、資格は普通免許。落ちて当然だと思っていました。
では何を変えたら反応が変わったのか。
変えたのは、履歴書の中身ではなく「応募する企業と業種」でした。
資格を1つも足さないまま、応募先を変えただけで、少しずつ面接に呼ばれるようになりました。最終的に採用してくれたのは、人材派遣会社の営業職です。資格欄は最後まで普通免許の1行でした。

あのとき資格の勉強を始めていたら、「落ちるのは資格がないからだ」と思い込んだまま、応募先を変えるのがもっと遅れていたと思います。
落ちる原因が資格ではなく応募先にあった、という話は正社員経験なしでも就職できる|29歳・書類がほとんど通らなかった僕が受かった会社の違いにも書いています。
32歳の転職で評価されたのも、資格ではありませんでした
もう一つ、僕の経験から言えることがあります。
32歳で3社目に転職したとき、基本給は10万円を切る水準から、一気に30万円弱まで上がりました。このとき書類と面接で押し出したのは、次の2つです。
- 2社目で、WebマーケティングやHP運用をチームで担当し、売上と粗利を前年比で約200%にしたこと
- 最終的に主任として、部下がいる立場で働いていたこと
どちらも資格ではありません。「何をして、どんな数字になったか」と「どんな立場だったか」です。
30代の転職で見られるのは、何ができるかです。そして「何ができるか」を一番わかりやすく示すのは、資格よりも仕事でやったことの記録でした。その記録は、どこかで働き始めないと作れません。
取る価値のある資格・ない資格を3つに分けます
とはいえ、資格が全部無駄だとは思っていません。分けて考えると判断しやすくなります。
| 種類 | 例 | 取るタイミング |
|---|---|---|
| ① 応募条件に書いてある資格 | 求人票に「要普通免許」とある営業職・配送職など | 今すぐ。ないと応募自体ができない |
| ② 入社後に会社が取らせる資格 | 「資格取得支援制度あり」と書かれた職種の資格(物流・介護・設備など) | 入社してから。費用を会社が出すことも多い |
| ③ 履歴書の飾りとして取る資格 | 目指す職種と関係の薄い資格、入門レベルの資格 | 応募と並行で。そのために応募を止めない |
①は迷わず取ってください。普通免許がないと応募できない求人は、特に地方ではかなりの数になります。
②は、先に取ろうとすると自腹で、しかも会社の求める種類と違うものを取ってしまうことがあります。求人票に「資格取得支援」と書いてあるなら、入ってからで十分です。物流の事務職から運行管理者を目指すような道筋は物流業界の事務の記事に書きました。
問題は③です。フリーターが「とりあえず」で手を出しやすいのは、たいていここに入ります。
ただし、職種がはっきり決まっている場合は話が変わります。経理を狙うなら簿記、ITのサポート職を狙うならIT系の基礎資格のように、職種と直結している資格は評価の材料になりえます。「どの職種でも使えそうだから」という理由で選んでいるなら、③だと思ってください。
資格の勉強は「動いている気分」になれるのが怖い
ここは少し耳の痛い話です。
資格の勉強は、就活と比べて圧倒的に気が楽です。落とされることがない。誰にも評価されない。テキストを1章進めれば、前に進んだ実感がある。
一方で、応募は落ちます。返信が来ないこともあります。僕も十数件連続で落ちたときは、正直しんどかったです。
だから、「資格を取ってから」が、応募から逃げるための理由になっていないかは、一度自分に聞いてみてください。僕自身、フリーター時代は「1年経つごとに状況が悪くなっていく感覚」がありました。時給は上がらないのに、年齢だけが上がっていく。その1年を資格の勉強に使っていたら、と思うと少し怖くなります。

……ちょっと図星やわ。落ちるの怖いから、先に武器を揃えたかっただけかもしれん。

それは普通の感覚です。ただ、落ちる経験は応募しないと積めません。
それでも取るなら、順番は「応募しながら」
資格の勉強をやめろ、という話ではありません。順番を並行に変えるだけです。
- 先に応募を始める。週に何件、と数を決めて出す
- 勉強は空いた時間でやる。シフトと応募の合間に回す
- 面接では「勉強中」をそのまま言う。取得前でも、目指す職種と関係があるなら話の材料になる
3つ目は意外と使えます。「未経験ですが、入社までに◯◯の勉強を進めています」と言えれば、資格そのものより「自分で準備を始める人」だと伝わります。志望動機への入れ方は未経験の志望動機が書けない。「やりたいこと」から書こうとするから止まりますに書きました。
資格なしで応募できる求人は、見てしまうのが早い
「資格がないと応募できる求人がない」と思っているなら、まず実際にどれくらいあるかを見てしまうのが早いです。僕の実感では、想像よりずっとあります。問題はそれを一人で探すと時間がかかることでした。
20代なら、20代フリーターの就職に特化したミラフリのように、最初から「職歴なし・資格なし」を前提にしているところで相談するのが早いです。求人は7万件以上あって、相談はオンラインで完結します。「資格を取るべきか」も、求人を見ながら聞けば、必要かどうかがその場で分かります。
ミラフリは20代向けのサービスなので、30代の方は対象から外れます。30代で「何の資格を取るか」から迷っているなら、それは資格の問題ではなく、方向が決まっていない状態だと思います。その段階では、求人を出さないPOSIWILL CAREERのようなキャリアコーチングで、先に方向を決めるほうが噛み合います。初回のカウンセリングは無料です。
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有料のサービスなので、向く人・向かない人ははっきり分かれます。そこはキャリアコーチングは意味がないのか?有料で求人も出ない、それでも使う場面に正直に書きました。
まとめ
- 資格は応募と並行して取るもの。取ってから応募すると、開始が数か月ずれる
- 29歳の僕が書類で落ち続けた原因は、資格ではなく応募先の選び方だった
- 32歳の転職で評価されたのは、売上と粗利を前年比約200%にした実績と、主任という立場
- 資格は3種類。応募条件にあるものは今すぐ、会社が取らせるものは入社後、飾りのものは並行で
- 職種が決まっていて、その職種と直結する資格なら評価の材料になる
- 資格の勉強が応募から逃げる理由になっていないかは、一度確かめる
資格欄が1行でも、正社員にはなれます。僕がそうでした。
足りないのは資格ではなく、働いた記録のほうです。そしてそれは、どこかで働き始めた日からしか増えていきません。
29歳で職歴ゼロから始めて、4社を経て33歳で新聞記者になるまでの全体像は29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでに書いています。




