未経験の求人に応募して、面接の日が決まる。そこから多くの人が同じことを始めます。

会社のホームページを開いて、企業理念のページをじっと読む。

僕もやりました。ただ、あとから振り返ると、あれは「企業研究をした気分になる作業」でした。理念を覚えても、面接では一言も使いません。

33歳のとき、僕は業界紙の新聞記者として採用されました。未経験です。選考は筆記試験も作文もなく、普通の面接だけでした。

そして後から聞いたところによると、そこで見られていたのは、志望動機の出来でも、理念への共感でもありませんでした。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

企業研究な。とりあえず沿革と社長の名前は覚えたで。売上高も調べた。完璧やろ。

ともふみ
ともふみ

覚えるのは悪くないです。ただ、面接でその知識を使う場面が来ないと、調べた意味がありません。

 

結論:調べる量ではなく「会話に出せる形か」で決まります

先に結論を書きます。

企業研究のゴールは、知識を増やすことではなく「その場で質問を作れる状態になること」です。

暗記した情報は、面接官から聞かれないかぎり出せません。そして未経験の面接で「弊社の沿革をご存じですか」と聞かれることは、まずありません。

一方で、調べたことをもとにこちらから質問を投げるのは、いつでもできます。しかも質問は、面接の終わりに必ず時間をもらえます。

つまり企業研究は、答えるための準備ではなく聞くための準備です。ここを取り違えると、何時間調べても面接の手応えが変わりません。

 

後から聞いた話では、見られていたのは2つだけでした

4社目の選考は、本当に普通の面接でした。特別な課題も、その場で書かされる文章もありません。

ただ、入社してしばらく経ってから聞いた話では、面接で見られていたのは次の2つだったそうです。

  1. どれだけ会社のことを調べてきているか
  2. どれだけ会話の中から質問を生み出せるか

これを聞いたとき、正直に言うと納得しました。業界紙の記者の仕事は取材です。取材に必要なのは、事前のリサーチ、その場での瞬発力と質問力、そして相手の話を聞く力。つまりあの面接は、そのまま仕事の適性を見ていたことになります。

ここは大事なので補足しておきます。これは僕が後から聞いた話であって、採用基準として公表されているものではありません。だから「面接の基準はこうだ」と断定するつもりはありません。

ただ、未経験の採用で企業が見るものとして、これはかなり筋が通っています。職務経験で比べられないなら、入社後に伸びるかどうかの手がかりを見るしかないからです。

ともふみ
ともふみ

「調べてきたか」と「質問を作れるか」は、実はセットです。調べていない人は、質問も作れません。

 

未経験なら、この5つだけ調べれば足ります

では具体的に何を調べるか。僕が今あらためて未経験の求人を受けるなら、この5つに絞ります。

① 誰に、何を売っている会社か

相手が企業なのか個人なのか。売っているのは物なのかサービスなのか。ここが分からないまま面接に行く人は、意外と多いです。

求人票の「事業内容」ではなく、会社サイトの「製品」「サービス」「事業紹介」のページを見てください。そこにいちばん詳しく書いてあります。

② 直近1年の「動き」

新しい拠点を出した、新商品を出した、別の会社と組んだ。こういう動きは「お知らせ」「ニュースリリース」のページに日付つきで並んでいます。

ここは質問の材料になりやすい場所です。会社が自分から出している情報なので、聞かれて困る話ではありません。

③ 求人票に書かれた仕事の「1日」

仕事内容の欄に書かれた業務を、朝から夕方までの流れに並べ直してみます。並べられない部分が出てきたら、それがそのまま質問になります。

④ 同じ業界の、別の会社

1社だけ見ても、その会社の特徴は分かりません。競合を2社くらい並べて見ると、違いが浮かびます。「他社は◯◯を前に出しているのに、この会社は△△を前に出している」という気づきは、そのまま志望動機の材料になります。

⑤ 社員が何人いるか

これは軽視されがちですが、未経験にとっては重要です。社員数が少ない会社ほど、一人が担当する範囲が広い。つまり未経験でもいろいろ任されます。僕が2社目でWebの仕事を拾えたのも、人が足りていない会社だったからです。

その経緯は30代・未経験からWebマーケに転職するには|「詳しい人がいない会社」で経験を作った僕の順路に書きました。

 

調べたことは「知識」ではなく「質問」に変えてから持っていく

ここが今日いちばん伝えたいところです。

調べたことをそのまま覚えて面接に行っても、出す場所がありません。だから面接に持っていく前に、質問の形に変換しておきます。

調べたこと持っていく形
今年の春に新しい拠点を出していた「新しい拠点では、既存の拠点と担当する仕事は変わりますか」
主力商品が2つある「入社してまず担当するのは、どちらの商品になりますか」
社員数が30人ほど「この職種は今、何人で回していますか」
競合は価格を、この会社は品質を前に出している「お客さまが他社ではなくこの会社を選ぶ理由は、どのあたりにありますか」

変換すると、2つのことが同時に伝わります。調べてきたという事実と、入社後を具体的に想像しているという姿勢です。未経験の面接で効くのは、後者のほうです。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

なるほどな。調べた内容を言うんやなくて、調べた内容から聞くんか。

 

「どこまで」の線引き:30分で足りないなら、調べ方が間違っています

企業研究にかける時間は、1社あたり30分を目安にしてください。

理由は2つあります。

1つ目は、それ以上調べても質問の数が増えないからです。上の5項目は、会社サイトを一周すれば30分で埋まります。そこから先に出てくるのは、面接で使い道のない情報です。

2つ目は、応募の数が減るからです。1社に3時間かけると、1日で受けられる準備は2社分しかありません。未経験の就活で効くのは、1社への深さよりも応募の数です。29歳のときの僕は、書類がほとんど通りませんでした。通るようになったきっかけは、履歴書を磨いたことではなく、応募する企業と業種を変えたことでした。

そのときの話は正社員経験なしでも就職できる|29歳・書類がほとんど通らなかった僕が受かった会社の違いに書いています。

やりすぎのサインも書いておきます。

  • 社長の経歴や出身校まで調べている
  • 何年も前の沿革を暗記している
  • 企業理念を丸暗記して、言い換えを練習している

この3つは、面接で使う場面がほぼありません。覚えた本人だけが安心するタイプの準備です。

 

調べても志望動機に変わらないときは、順番が逆になっています

「調べたけれど、志望動機が書けない」という状態はよく起きます。

これはだいたい、「この会社のどこに惹かれたか」から書こうとしているのが原因です。未経験の応募で、心から惹かれる会社に出会えることはそう多くありません。無理に探すと、どこかで見たような文章になります。

順番を変えて、「自分がどう働きたいか」→「それができそうなのがこの会社だった」の形にすると、調べた内容がそのまま根拠になります。

この書き方は未経験の志望動機が書けない。「やりたいこと」から書こうとするから止まりますに詳しくまとめました。

 

そもそも、調べる会社がないときは

ここまで読んで「調べる以前に、応募できる求人が見つからない」と思った人もいると思います。

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まとめ

  • 企業研究のゴールは暗記ではなく、その場で質問を作れる状態になること
  • 33歳の面接で見られていたと後から聞いたのは、①調べてきているか ②会話から質問を生み出せるかの2つ
  • 調べるのは誰に何を売っているか/直近1年の動き/仕事の1日/競合2社/社員数の5つで足りる
  • 調べたことは知識ではなく質問の形に変換してから持っていく
  • 時間は1社30分。社長の出身校や沿革の暗記は、使う場面がない
  • 調べても志望動機にならないときは、「どう働きたいか」から書く順番に変える

未経験の面接で、経験の差は埋まりません。埋まらない前提で、埋められるところだけ埋めに行く。調べてきたかどうかは、その数少ない一つです。

そして調べた先に必ず待っているのが、面接の最後の「何か質問はありますか」です。面接そのものの考え方は面接で必要なのは他者目線。企業が求める答えを考えよう。にまとめています。

29歳・職歴ゼロから4社を経て33歳で新聞記者になるまでの全体像は29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでにまとめています。