時給1100円。月160時間。

家賃5万円の部屋で一人暮らし。バイト先の店長は年下の女性で、27歳のときに入ってきた同期は大学1年生でした。

社会的な物差しで測れば、かなり厳しい部類だったと思います。

ただ、正直に言うと——生活は普通にできていました。貯金もできていたし、そのうえでバンドと舞台という、わりとお金のかかる趣味も続けていました。

三十路フリ太郎
三十路フリ太郎

時給1100円で一人暮らしって、普通に無理ちゃうん?

ともふみ
ともふみ

できます。数字を出すので見てください。問題は金額じゃなくて、どこに使うかでした。

 

まず、収入の数字を出します

ごまかしても意味がないので、そのまま書きます。

項目 金額
時給 1,100円
勤務 月160時間(週40時間ペース)
アルバイト収入 月176,000円
Webライター これに加えて、月によって上下する副収入

手取りにすると、だいたい16万円前後です。

ここから家賃が5万円。収入の3割弱ですね。よく言われる「家賃は手取りの3分の1まで」に、ぎりぎり収まっている水準です。

この時点で、残りは11万円ほど。ここで生活して、貯金して、趣味もやっていました。

 

「金がない」と思っていた時期、実は金がないわけではなかった

当時の僕は、口を開けば「金がない」と言っていました。でも今になって数字を並べると、足りていなかったのではなく、配分を決めていなかっただけだったと分かります。

結論から言うと、生活を成り立たせていたのはこの一点です。

収入の多さではなく、どこに、どれだけ使うかを先に決めていたかどうか

僕がやっていたのは、順番を固定することだけでした。

  • 先に固定費を確定させる——家賃・光熱費・通信費。ここは毎月動かないので、真っ先に確保する
  • 次に「これだけは使う」を決める——僕の場合はバンドと舞台。ここを削ると、そもそも生きている意味がなくなるので聖域にしていました
  • 残りで食う——食費は月2万円を切っていました。米だけ炊いて、鍋・炒め・丼の3パターンを回すだけ

順番が逆——つまり「余ったら趣味に回そう」だと、絶対に余りません。余ったら、は永遠に来ないんです。だから先に確保していました。

節約の具体的なやり方は、お金がないフリーター時代を生き延びた節約術。貯金数万円でも心まで貧しくならないコツに書いています。

 

バンドと舞台は、想像よりお金がかかりません(ただし入りも遅い)

よく「よくその収入でバンドや舞台なんてできましたね」と言われます。実際どうだったかを書きます。

出ていくお金

機材は高いです。これは否定しません。ギター、アンプ、エフェクター。一つ買えば数万円が飛びます。

ただ、機材は毎月買うものではありません。一度そろえたら、あとは数年単位で使います。月あたりに直すと、思ったほどの負担にはならないんです。

入ってくるお金の「遅さ」のほうが問題でした

舞台は、公演が終わって初めてお金が入ります。そこに至るまでの稽古期間——1か月、長ければ2か月——は、完全にタダ働きです。

つまり、こういう構造になります。

時期 お金の動き
稽古期間(1〜2か月) 収入ゼロ。しかも稽古でシフトを減らすので、バイト代も落ちる
公演当日 出ていくばかり
公演後 ようやく入る

だから必要だったのは「稼ぐこと」より、入ってこない期間を越えるための蓄えでした。貯金していたのは将来のためというより、次の稽古期間を乗り切るためだったんです。

ともふみ
ともふみ

やりたいことがある人ほど、貯金は「夢のため」じゃなくて「無収入期間を越えるため」に要ります。

 

正直しんどかったのは、お金より「立ち位置」でした

ここは書くか迷いましたが、同じ状況の人がいると思うので書きます。

店長は、年下の女性でした。

仕事なので当たり前です。彼女のほうが先に入っていて、経験もあって、実際に優秀でした。指示を受けるのは何も間違っていません。

それでも、27歳を過ぎたあたりから、その事実が妙に重く感じる瞬間がありました。理屈ではなく、感覚の問題です。

さらに追い打ちをかけたのが、27歳のときに入ってきた同期が、大学1年生だったことです。

同じ研修を、同じ立場で受ける。彼は19歳で、僕は27歳。仲は良かったし、良い子でした。でも休憩室で「就活どうしよう」みたいな話を聞いていると、自分がどこにも属していないことを、静かに突きつけられる感じがありました。

お金は工夫すればなんとかなります。でも、この居心地の悪さは、工夫ではどうにもなりませんでした。

同じような感覚がある方は、30歳フリーターは手遅れじゃない。ただし「何もしない」なら手遅れになるも読んでみてください。

 

それでも、やっておいてよかったと思っています

いま僕は業界紙の新聞記者として働いていて、平均年収は超えました。29歳で初めて正社員になったので、フリーター期間は決して短くありません。

その立場で、はっきり言えることがあります。

好きなこと、やりたいことは、できるときにやったほうがいい。

理由は単純で、できる時期には限りがあるからです。

いまの僕は、当時よりずっと稼いでいます。機材だって、当時なら悩んだ値段のものを普通に買えます。でも——2か月の稽古期間を空けることは、もうできません。

お金は後から増やせます。でも「まとまった時間を、リターンが不確かなことに突っ込める身軽さ」は、後から取り戻せません。これは本当にそうです。

だから、いまフリーターで好きなことをやっている人に「早く就職しろ」とは言いません。やれているうちは、やったほうがいい。

 

ただし、切り替えどきの話だけはさせてください

「やれるうちはやればいい」と書きましたが、やれなくなる瞬間は必ず来ます。僕の場合は2020年、コロナで舞台とライブの予定が全部飛んだときでした。

そのとき気づいたのが、自分には積み上がっているものが何もないという事実です。8年やってきたのに、外から見て評価できる形になっているものがなかった。

だから、判断の基準はこの一つだけでいいと思っています。

いまやっていることが「続けられなくなったとき」、手元に何が残るか

残るものがあるなら続けてください。何も残らないと気づいたら、そこが切り替えどきです。年齢ではありません。僕は29歳で切り替えましたが、それが遅すぎたとは思っていません。

そして切り替えると決めたら、職歴なしからでも受かる場所は普通にあります。選び方さえ間違えなければ、です。

僕が落ち続けたあと何を変えたのかは、正社員経験なしでも就職できる|29歳・書類がほとんど通らなかった僕が受かった会社の違いに書きました。

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あわせて読みたい:アラサーフリーターの現実と抜け出し方|29歳・職歴ゼロから正社員になった僕が決めた3つの基準

まとめ:金額ではなく、配分の問題でした

  • 時給1,100円・月160時間で月176,000円。家賃5万円の一人暮らしは普通に成立する
  • 足りないのではなく配分を決めていないだけ。固定費 → 聖域(好きなこと)→ 残りで食う、の順に決める
  • 機材は高いが毎月は買わない。きついのは稽古期間という無収入の谷。貯金はそこを越えるために要る
  • お金より立ち位置のほうがしんどい。年下の店長、大学1年生の同期。これは工夫では解決しない
  • それでも好きなことはできるときにやったほうがいい。お金は後から増やせるが、身軽さは戻らない
  • 切り替えの基準は年齢ではなく、続けられなくなったとき手元に何が残るか
ともふみ
ともふみ

時給1100円でもやれます。ただ、やれる期間には終わりがあるという話です。

フリーターから正社員になり、そこから年収が上がるまでの全体像は、29歳まで職歴ゼロのアラサーフリーターが、4年で4社を経て33歳で新聞記者になるまでに書いています。